初春に思う2:一国際対応委員として感じたこと 〜2011年以来久しぶりに再開された「日中薬理学・臨床薬理学ジョイントミーティング」に参加して〜

日本薬理学会では2016年度から理事の改選により途絶えてしまいがちな学会としての他国との関係をそれとは関係なく継続的に行うための委員会として国際対応委員会が立ち上がりました。たまたま2016年2月、招待シンポジストとしてタイでのAPFPに参加していたことでお声をお掛け頂き、私もメンバーの一人に加えて頂けることになりましたことは、2016年9月2日の今日の塾長「日本薬理学会第1回国際対応委員会」に書かせて頂いた通りです。

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委員構成等は学会HPをご覧頂ければと存じますが、日本薬理学会はすでに米国、英国、豪州、韓国、中国の薬理学会と特別講演およびシンポジウム演者の派遣などを中心に交流を行ってきていたようです(これまで全く関心がなかったもので、汗)。上記5つの二国間関係と現立命館大学のM先生が目出度く会長に就任されたAPFP(アジア太平洋薬理学者の会)の6つのタスク?を6人の委員でシェアすることを提案しました所賛同を得、私がAPFP担当になったことも記載した通りです。

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会議中話題に出たのが日中のジョイントミーティングは、2011年にウルムチで開催された後、例のS閣問題を契機に中断されたままになっていることを耳にしました。日中薬理学・臨床薬理学ジョイントミーティング(以後JCJMPCP、長いですね、笑)は中国では薬理学会が臨床薬理学会も包含している事情から、日本開催の際には薬理学会と臨床薬理学会が交互に対応することになっているようで、たまたま臨床薬理学会の国際交流委員長は獨協医大時代の元同僚の精神科S教授であるため、会議後それとなく伺ってみました。すると12月の米子での臨床薬理学会に20人規模で来日するという連絡があったとのこと。この情報を薬理学会国際対応委員長のI先生にお伝えし、これで私のお役目終了!、、、となるはずでした。

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なぜかその後のJCJMPCPの開催に関する薬理学会と臨床薬理学会のやり取りのメールが転送され続け、私ごときに転送頂かなくてもと思っておりました所、来るか来ないかわからない状況の続く中、やはり来るということになり、結局やるんだ~、大変だな~、と他人事のように眺めておりました。

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で、実際開催することになったようで、日本側から出す演者2名は今回のホスト臨床薬理学会から1名、薬理学会から1名ことになるようで、臨床薬理学会は理事長の浜松医大 W先生がご担当。へ~、やはり各学会の代表だから偉い先生が御発表されるんだな~、じゃあ薬理学会も理事長クラスが行くんだろうな~、と眺めていた所、なぜか私の元に依頼が!

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なんでも薬理学会現理事長と国際対応委員長でもある前理事長、国際対応副委員長、中国担当委員の皆がその日は事情で米子にいけない、とのことで、APFPは中国も含まれているので先生はAPFP担当だから、という理由でなぜか私が発表を引き受けることになった、というのが今回の発表に至る顛末でした。

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いや、私は目立ちたがり屋ですし、臨床薬理学会員でもあるので元々米子に行くことになっていたから全然問題ないですが、これがもしこのJCJMPCPが別な地で単独開催でそれだけ行かなくてはならないとなった際、委員だけで対応できないのではないか、とかなり不安を覚えました。米英豪あたりの国はしっかりした国だからいいですが、そうではない国は中国だけではないと思いますので(特にラテン系国家であるフランス留学組の私は連中のいい加減さには慣れっこでして、汗)、「国際対応」を可能にするフレキシブルな体制を気付いておくことも重要かと考えるに至ります。

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それはさておき、今回の米子で感じたことを、薬理学会現理事長と国際対応委員長でもある前理事長、国際対応副委員長、中国担当委員の先生方にメールにて「ご報告」させて頂きました。今回出張費用は頂きませんでしたが(ひょっとしたら使っていたかもしれませんから)、薬理学会を代表しての「公務」と考え、メールした内容をここに転載させて頂きます。主に薬理学会の会員の方でご意見がある方は私まで頂きますれば幸いです。お待ちしております。

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昨日鳥取米子で開催されました第6回日中薬理学・臨床薬理学ジョイントミーティングに参加して参りました。

日本臨床薬理学会 国際交流リエゾン委員会委員長の獨協医大精神科 S先生の多大なるご尽力のお陰をもちまして、無事に終了致しましたこと、ここにご報告をさせて頂きます。

予想されたことではございますが、臨床薬理学会員ではない薬理学会会員の方のご参加は残念ながら見た所おられなかったようですが、当日薬理学会元理事長のM先生にご出席を頂きましたで、なんとか面目を保てたかと存じます。

昨日午後2時からのミーティングに先立ち、中国薬理学会長のDr. Duを始め中国からの先生方とランチをとりながらのビジネスミーティングを行いました。その席で幾つか中国側の事情もなんとなく感じられました。

1.連絡が滞りなかなかスケジュールが決まらないことにお詫びするお言葉を頂きましたが、どうやら現在中国では公費を使っての海外への出張は制限が厳しくなっており、教授であれば学部長、学長の承認に加え、大学のある地域を管轄する日本で言えば知事?に当たる人物の承認を得てようやく中国の外務省(のようなもの)に申請する必要があり、ビザの入手には大体2-3ヶ月かかり、すべてが承認されるわけではないとのことでした。

なんとなくですが、研究者の方々は来日をしたいという(恐らく)強い思いがあるものの、最後は党?の外交委員会が決めるため、日中間の外交事情によって、研究者側から「日本に行きたい」と言い出せない事情があるように推察いたしました。

2.次にWCP2018ですが、昨日臨床薬理学会サイドのプログラム委員である北里大学のK先生がご出席をされておりましたので、ご対応を頂きましたが、学会事務局から中国のspeakerに直接講演依頼を出す日本の方針では、その個人からの海外渡航の申請が当局に受理されるか心配である旨の意見を頂きました。

先方は中国薬理学会に一括しての講演依頼を頂きたいという希望のようです。K先生がWCP2018事務局に持ち帰られるかと存じますが、念のため、私からI先生に直接お伝えしておきたいと考え、ここに記載させて頂きます。個人的な意見ではございますが、中国に対しては日本や欧米と同じような対応だけでは物事が進まない気が致しますので、WCPでの講演依頼に関しましては、(中国側の肩を持つ訳ではございませんが)ご配慮を頂きますれば幸いです。

3.続いて次回第7回ですが、中国開催となります。中国のDu先生からのご提案は、本来であれば2018年開催であるがWCPがあるため、(おそらく同じ年に2回出張は出来ないのではないかと思いますが)1年ないし2年延ばして、2019年、ないし2020年に開催したいとのことでした。

Du先生は「中国での開催時は訪問ゲストである日本側の訪問したい場所を開催地に選んでほしい」とのことです。北京、西安、上海や雲南省などなど候補がいくつか出ておりましたが、こちらは時期も含め開催地は臨床薬理学会側とも意見を交換しながらお決め頂ければと存じます。

そこで感じましたことは、立場が変わって中国側から見ますと、日本で開催する場合には中国側が開催をして欲しい場所を開催地にして欲しいのではないか、ということです。

S先生から今回本当は中国側は北海道での開催を希望していた、と伺いました。臨床薬理学会では北海道にそれを依頼できる人物はいない、ということですが、2021年、ないし2022年の薬理学会が受け持つ日本開催の第8回で、中国側が北海道開催を希望してくる可能性があるように感じました。どこまで相手側に配慮するかによりますが、第8回開催の際の参考にするだけでなく、第8回開催の担当者を決めることを見据えた第7回の中国側開催時の派遣メンバー選定をご検討頂きますれば幸いです。

最後に私見ではございますが、今回参加させて頂いて感じたことを記載させて頂きます。

このような国際交流は目の前の研究の展開それ自体にとって役に立つかどうかわかりませんので、私自身もこのような活動に拘束されたくない気持ちは正直ございます。ですが、国際対応委員会でも発言をさせて頂きましたが、一人勝ちの国アメリカではなく、他国と協調が必須のヨーロッパ(フランス)留学組の私は、日本という国も世界という共同体の中に存在する限り、枠組みでの国力に応じた相応の活動、ないしプレゼンスを示すことが必要であるという認識を持っております。

(これはまた日本の中に置き換えました場合、その歴史と伝統、そして実績に相応しい大学や研究室の人間も同様にその役割を担う必要があるのでは、と考えております。勿論これはあくまで私個人の思いに過ぎませんが)

今回私はジョイントミーティングで発表をさせて頂いただけに過ぎませんが、このような活動を通じて、特にお互いが直に顔を合わせることによって、メールのやり取りだけではわからない「心の通う」交流を行う中、色々な意味での相互理解が進んでいく、と痛感致しました。そして私自身もようやくこういう会を開催する大事さを理解できた気が致します。日中の二国間パートナーシップだけでなく、交流が進み担当委員も決まっている日米、日英、日豪、そして日韓の二国間パートナーシップに加え、WCPを共に開催する臨床薬理学会という国内の二学会パートナーシップも強めて行くことが必要であると考えました。

また同時に委員会の限られたメンバーだけが負担を強いられることも避けなばならないと感じました。今回臨床薬理学会のS先生のご苦労は大変なものがございました。以前飯野先生にご提案をさせて頂きましたが、日本腎臓学会でK川大薬理学のN先生が主体的にその導入にご尽力されました「サポーター」制度を本学会でも、まずはこの国際対応委員会の各国対応を支援するべく導入をご検討頂きたいと存じます。よろしければAPFPへの対応に関してということでも結構ですので、APFP支援を目的に日中、日韓、日豪も含めてご検討頂きますれば幸いです。

長くなりましたが、以上日中ミーティングのご報告と私見、記載させて頂きました。よろしくお願い申し上げます。

 

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