「飛び入学」の先進科学センター兼務開始

新年度が始まってはや7日目。
東京都では2日続きで100名を超える方が新型コロナウイルス感染と報告され、いよいよ持って首都東京の医療崩壊が現実味を帯びてきております。

都内では某私立大学が明後日水曜日から、国や都の決断に先駆けて大学の「ロックアウト」を行うことを公表。私の所属する本務先大学もまずは学生(大学院生、学部生)、続いて教職員と2段階での入構制限の方向に向かっているようです。

そんな中でも年度は動いてゆくわけですが、昨年に続き、今年も「副学部長」を拝命することとなりました。昨年は副学部長として、長年にわたり動かすことのできなかった学部の1−2年にわたる普遍教育(いわゆる教養教育)を1年次のみとして、2年次からは医療系キャンパスでの専門教育を実施するカリキュラムの大改革を行いました。20年以上続くシステムをガラリと変えた割にはあまり評価もされず、まあそんなもんかなという感じでしたが、今までは理学部の先生にお願いしていた統計学だけの「数学」をやめ、当医学部が誇る「AI医学」教室をfeaturing?した「AI数理科学入門」の科目をを新設、さらに、長年学生さんからのリクエストの多かった臨床で使える統計学「生物統計」科目を新設、さらにさらにそれらの勉強の基礎となる微積分、線形代数、統計学を体系的に学ぶ「統合数学」という科目を新設し、教養から基礎、臨床へとつなげることを目指しました。

さらに、これまた20年以上にわたり医学部にも関わらず、しかも入学者のほとんどが受験時に理科は物理・化学選択であるにも関わらず、低学年時に科目として存在していなかった「生物学」講義の復活をさせました。これにより、高校理科の生物から基礎医学の解剖学、生理学、生化学、薬理学、微生物学、免疫学への橋渡しをすることを目指しました。

これ以外にも、学生さんから評判の悪かった「物理学」を廃止し、1年にわたり有機化学しか学ばない「化学」も期間を短縮するなど、様々な改革を行いましたが、その際に相談に乗って頂いたのは、私が所属する本部のあるキャンパス「西千葉」の「分子キラリティ研究センター」と「フロンティア医工学センター」の先生方、そう私が「兼務教員」を務める2つのセンターでした。

そして今年度からはもう一つ、都合3つ目のセンターの兼務教員になりました。それは
「先進科学センター」
です。

先進科学センターは1997年10月に発足以来,23年の伝統ある組織で、「先進科学プログラム」を実施するセンターです。同プログラムは、高校2年修了後、通常より1年早く大学に入学できるいわゆる「飛び入学」制度で、研究者を目指す方のためのプログラムです。

https://www.cfs.chiba-u.ac.jp/

17歳で(国によってはもっと大幅に早く)大学に入学する「飛び入学」は,諸外国ではごく普通の進学制度として,学習進度の速い生徒を対象に広く普及していますが、戦後の日本では横並び意識の高さからか永く行われてきませんでした。
そこに我が国で初めて「飛び入学」を導入したのが千葉大学で、23年経った今は、理学部では物理学科・化学科・生物学科,工学部ではすべてのコース,園芸学部では応用生命化学科,文学部では人文学科行動科学コースの4学部14の先進クラスがあり、飛び入学生の受け入れを行なっております。

さて、今回私が所属するのは先進科学センターの「国際研究部門」。
医学研究院で本センター所属は私一人。しかも薬学研究院や看護学研究科からの兼務教員はいないので、図らずも医療系代表です(汗)

おそらく私のMissionは6分野14クラス制まで拡大した先進科学プログラムを医学部にも導入するかどうかの検討(かな?)。
既に医学部では「研究医枠」なるものがありますが、さらにこの「飛び入学」を利用すれば、高2卒業で医学部に入学出来、1年早く医師になり、1年早く2年の臨床研修を終えられるため、1年早く大学院にも入学出来ることになります。

厚生労働省の医師法 第三章 試験 第十一条に
「医師国家試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、これを受けることができない。」とあり、さらに
一 大学において、医学の正規の課程を修めて卒業した者
とあり、年齢に関する規定はありませんので、上記のストーリーは可能ではないかと。

ということで、先進科学センターの求める「研究の基礎となる学問を深く学び,将来,研究者等になり先端的な研究を行うことに強い志を持つ学生」の医学部への入学が実現する、かもしれません。
果たしてこれが医学部受験生にとってどれだけ魅力的と映るのか、また受け入れる側にはどう映るのか、関係各訪問と意見交換を行いたいと考えております。

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