同期とMOKUランチ

2021.6.15(火)
この日は講師の先生の希望により、久しぶりに対面で1限から医学部3年次薬理学講義を実施。
そのため久しぶりに5時に起きで5:46発の吉祥寺行き始発バスに乗り、吉祥寺6:04発中央線快速東京行きに乗る。

講義は8:50開始、引越しが終わっていない我々はまだ旧医学部本館にいるため、講義が行われる新医学部棟まで歩いて7-8分かかるので、8:40には教室を出るので、8:30までには我々の教室に来てね!、と講師の先生には伝えてあるので、流石に8時過ぎには部屋を開けておかないといけないため、8時前には着かないとな、と思っていたところ、電車のトラブルもなく無事に7時45分頃には到着する。

この日の講義は抗がん薬のお話。一昨年より、腫瘍化学療法の最前線にいる大学時代の同期で、千葉大学旧第一内科でも同期であった松戸市立総合医療センター化学療法内科部長のS先生に依頼しております。
一昨年のS先生登場の顛末?は、「令和2ヶ月目(後編)」 に記載しておりますが、SNSなどでのアクティブな活躍で知られるS先生の本務先は、こちら になります。

今とは異なり、大学卒業後は9割近い同期が自分の出身大学にそのまま残って初期研修を続けていた我々の時代、1学年約120人いる同期の1割を超える14名が入局したのが旧第一内科でした。
最初の半年は第一内科、次いで第二内科を3ヶ月、呼吸器内科を3ヶ月ローテートし1年目が終わり、同期の半分の7名が学外の関連病院に初期出張という形で異動し、残りの半分の7名は、翌年に入局する研修医(それがなんと21名!)の指導に当たることになります。

これまた今とは異なり、医師国家試験に合格して医師として勤務できるようになるのは大体5月の半ばですので、4月から5月半ば過ぎまでは研修医7名だけで旧第一内科の病棟約50床を見ることになり、単純計算で一人の研修医が7名の患者の受け持ちになります。通常研修医の受け持ちは2-3名ですから、この1ヶ月半は地獄の日々になります(涙)。今はどうだか知りませんが、当時は受け持ち患者の毎朝の採血と朝夕の点滴、週3回の休む間もない外来採血当番、日勤帯に行われる検査での血圧測定などの下働き、そして本来は週1回の外勤ですが、21名の新人のための外勤先確保のために最低7名で14名分の外勤枠を維持するという(つまり週2回の外勤日)時間的な制約(当然当直翌日も通常の日勤業務)など、地獄の1ヶ月半でした。
私とS先生とU先生の3名は、腎臓・血液グループに所属し、患者数は若干少ないものの、白血病という当時は常に生死を分けるシビアな治療を行う患者さんを複数受け持っている、その中に重症で人工呼吸器が稼働している患者さんを受け持つと病棟から24時間離れることが出来なくなるため、1名が行けない外勤(週2日)分を2名で回すこと(週3回)になるため、(外勤に)行くも地獄、残るも地獄、という状況でした。

まさに「戦場」というに相応しい状況で、ある種の極限状況です。そんな状況に追い込まれると、一人一人の「人間性」が浮き彫りになります。どんなに表面を取り繕っていても、エゴイストはエゴイストの面を露骨に出すようになるのですが、我々3人のチームワークはよく、真面目な優等生(と自分は思っている)の私、いつも心のゆとりがありユーモアのセンス抜群でどんなに厳しい状況でも明るく振る舞うムードメーカーのU先生(実は娘さんが今母校の後輩となっています)、そしてどんなに大変な状況でも、例えば外勤先で救急患者が担ぎ込まれ、予定の時間に大学に戻れない時に、それでなくても忙しいことがわかっていながらも、「Sくん、誰々さんの抗がん薬静注、○時なんだ、頼む!」と連絡すると、「わかった、任せとけ!」と絶対に引き受けてくれる頼れる男「漢(おとこ)さおとめ」と言われたS先生、というトリオでした。

S先生のSNSのプロフィール欄にある
「かかって来なさい!何でも診ます!便利屋がん治療医(Cancer fighter)」
という自己紹介は嘘ではなく、ある意味今でも昔のままだな、と(失礼ながら)笑ってしまうのですが、今は9時ー5時で帰らないといけないサラリーマンのような初期研修医の話を聞くと、それはその方がいいに決まっているものの、厳しい現実を学ぶのは大事なことなんだけどな、と思ってしまう私がいます。
年をとると通常過去の出来事がノスタルジックに感じられ、辛い部分は薄れ過去が美化されるものではありますが、今思い出しても嫌になるあの時の経験は確実に私の原体験の一つではないかと感じます。

話が長くなりましたが、今の若者にどの程度通じるのかわかりませんが、今も30年前と同じ現場に同じ姿勢で身を置く、特別天然記念物?のような頼れる同期S先生に、今年も講義を依頼したのは、現場で薬を使う医師から薬物の使用に関するリアリティを感じて欲しい、そんな思いからです。

また、そんなS先生に、新装なった医学部棟でぜひ後輩に講義をして欲しいという点もありました。
そのS先生の講義、これまで同様ボリュームたっぷりでしたが、少しでも伝わって欲しいと思います。

講義は10時半に終了。その後少し学内をブラブラするからというS先生。
私は11時から某企業との面会があり、それを済ませてランチで合流することに。

実はS先生には「無給」で来て頂いているので、せめてお昼くらいは御馳走?しようと、この6月1日に亥鼻キャンパス内にオープンして話題?の別荘風カフェレストラン「moku(モク)」に教室員とともに行きました。

11時半に予約しており、入店もスムーズ。まだその時間は空いていましたが、次第にお客さんも増えてきます。とはいえ、まだ緊急事態宣言下ですから、満席になるまでには行かないですよね。

初めての利用となったこのレストラン、地元の食材を使った料理の数々、なかなか魅力的です!

私は緑茶豚ポークステーキとラタトゥイユ、S先生はビーフハンバーグステーキ デミグラスソースと千葉野菜のグリル添え。お味はどちらも良好!、ですが、料理が一斉に揃わなかったところは、時間の無い医療者だとちょっと困りますかね(一般の方は問題ないでしょうが)

普段は休みもなく忙しいS先生ですが、この日は講義に合わせて休みを取った、ということで時間も心配ないようなので、試しにデザートも注文! これも食いでがあって美味しいですね!

で、実はこの日同じレストランを利用していた大学時代の同期がもう一人!
この4月に小児科の教授に就任したH先生です!
「え〜、どうしたの?」と驚くH先生。記念のスリーショット!
30年の時を超えて、亥鼻で遭遇するなんて、ある意味奇跡かもしれないですね。

ということで、これで3度目となるS先生の抗がん薬の講義、今年も無事に終わりました。
1日飛んで木曜日には、これまた同期で柏の葉診療所のK先生が漢方の講義でした。
千葉大学医学部平成2年卒の同期、頑張っています!

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