【著者】
水木しげる
【出版社】
中公文庫
【内容】
昭和18年5月、水木しげるは21歳で召集され、鳥取歩兵連隊に入営後ラバウルに赴く。毎日続く初年兵いじめのビンタ。そして始まった壮絶な戦いで、味方は全滅。命からがら中隊へ一人帰還するが、待っていたのは「皆が死んだんだからお前も死ね」の言葉。やがて空からの銃撃で左腕を失う。そんな「地獄」のなか、水木は偶然出会った原住民の集落で歓待され、彼らと親交を深め「天国」も体験する。兵士として戦場を生き抜いた著者だからこそ描くことができた珠玉の短篇集。(「BOOK」データベースより)
【一言書評】
2015年11月30日に93歳でその生涯を閉じた水木しげる氏の戦争実体験とそれを基に他者の体験から描かれた戦争マンガの短篇集で、一気に読めてしまうのですが、共通するのは戦争の悲惨さと不条理、しかしそれが平時においても我々日本人の心の中に潜んでいるのではないかという警戒感や怖さを感じるものでした。