遠い島 ガダルカナル<新装版>(106)

【著者】
半藤 一利

【出版社】
PHP文庫

【内容】
米軍を侮り、誤断を繰り返す日本陸海軍のエリートたち。太平洋戦争の“転回点”となった日米の死闘を、当代一流の戦史家が描いた力作。

ミッドウェイ海戦での敗退。ガダルカナル島に飛行場を建設。敵部隊の上陸、突撃、全滅、揚陸失敗……。捲土重来も、戦艦は沈没し、船団が潰滅。悲惨な敗北、御前会議、そして撤退へ――。
日本人が忘れてはならない歴史の教訓がここにある。

【一言書評】
「根拠なき自己過信、傲慢な無知、底知れぬ無責任が国を滅ぼす」という事実

「死なないうちに、蝿がたかる。追っても追ってもよってくる。とうとう追いきれなくなる。と、蝿は群れをなして、露出されている皮膚にたかる。顔面は一本の皺も見えないまでに、蝿がまっ黒にたかり、皮膚を噛み、肉をむさぼる。
そのわきを通ると、一時にぷーんと蝿は飛び立つ。飛び立ったあとの、食いあらされた顔の醜さ、恐ろしさ。鼻もなく、口もなく、眼もない。白くむき出された骨と、ところどころに紫色にくっついている肉塊。それらに固りついて黒くなった血痕。
これが忠勇な、天皇陛下の股肱の最後の姿。われわれの戦友の、兄弟の、国家にすべてを捧げきった姿。ぼろぼろの夏襦袢の襟からのぞく髪の毛の生えた腐肉の一かたまりが、あの歓呼に送られ、旗の波に手をふって答えた顔と誰が思えよう。思わず面をそむけると、何百という蝿の群は、再び地べたの腐肉にむさぼりついた」

情報収集を怠り、自分たちの固定観念に固執し、正確な情報が届いてもそれを握り潰し、机上の空論に終始し、お仲間だけで物事を進めた結果、相次ぐ失敗を起こしながらも無反省のまま継続されて行き最後は破滅する、というパターンが未だに日本では繰り返されている気がしてなりません。

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