【著者】
安達 宏昭 (著)
【出版社】
中公新書
【内容】
大東亜共栄圏とは、第2次世界大戦下、日本を盟主とし、アジアの統合をめざす国策だった。それはドイツ・イタリアと連動し世界分割を目論むものでもあった。日本は「自存自衛」を掲げ、石油、鉱業、コメ、棉花などの生産を占領地に割り振り、政官財が連携し、企業を進出させる。だが戦局悪化後、「アジア解放」をスローガンとし、各地域の代表を招く大東亜会議を開催するなど変容し、迷走する。本書は、立案、実行から破綻までの全貌を描く。
【一言書評】
1940年ヨーロッパ戦線でのドイツの優勢という国際情勢に乗じて、場当たり的に掲げた「大東亜共栄圏」という経済自給権構想、準備不足とそもそも東アジアから東南アジアを束ねる経済力などなく、目先の占領地の秩序回復と日本経済維持が最優先で東南アジアからの支持どころか離反を招く大失態、それを助長するのが今にも通じる縦割りの省庁・軍部との軋轢、、、book110で紹介した「満鉄全史」に見られる日本的組織共通の病巣がここにも出ていたのかと思うと、失望しかない。