【著者】
加藤 聖文 (著)
【出版社】
講談社学術文庫
【内容】
南満洲鉄道株式会社(一九〇六~一九四五)は、初代総裁後藤新平のもと、鉄道のみならず新聞、ホテル事業、調査機関と手を広げ、大陸支配の代名詞として君臨するに至る。だが「陽に鉄道経営の仮面を装い、陰に百般の施設を実行する」実質的な国家機関の実態は、政官軍の思惑に翻弄される迷走の連続だった。年表、首脳陣人事一覧、会社組織一覧付き。
(「BOOK」データベースより)
【一言書評】
得体の知れない怪物、と著者が呼ぶ「国策」、これを決めるのは人間だが、ひとたび決まると人間の制御が利かなくなって暴走するだけでなく、あまりにも多くの人間の利害が絡み合うため、結果として責任の所在が曖昧になる、そんな象徴として取り上げられた「満鉄」の歴史は、日本の現在そして未来を考える上での大きな教訓になるという筆者の思いに同感した。