孟嘗君(1) 〜(5)(115)

【著者】
宮城谷 昌光 (著)

【出版社】
講談社文庫

【内容】
斉の君主の子・田嬰の美妾青欄は、健やかな男児・田文を出産した。しかし、五月五日生まれは不吉、殺すようにと田嬰は命じる。必死の母青欄が密かに逃がした赤子は、奇しき縁で好漢風洪に育てられる。血風吹きすさぶ戦国時代、人として見事に生きた田文・孟嘗君とその養父の、颯爽たる人生の幕開け。

【一言書評】
「奇貨居くべし」の主人公であった呂不韋の生涯が壮大なスケールで描かれたのに対し、主人公である孟嘗君は後半の主人公に過ぎず、その育ての親である風洪、のちの白圭が前半の主人公で、(史実をもとにはしているが)虚構の世界とは言え、覚悟を決め、腹を据えて難事の中へ飛び込む男の生き様はまるで映画を見ているような躍動感と緊張感に溢れており、最後は一気に時が進んでしまう宮城谷氏特有のあっけない感じはあるものの、古代中国歴史小説の醍醐味を感じさせてくれます。

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