平清盛と平家政権 改革者の夢と挫折 (122)

【著者】
伊東 潤(著)

【出版社】
朝日文庫

【内容】
史上初の武家政権は、鎌倉幕府ではなかった! 平家の台頭から平家政権の誕生、日宋貿易、福原への遷都、清盛の挫折と死、その後の平家の最後、源氏政権との比較まで。歴史小説作家ならではの観察眼で、幕末まで700年続くことになる武家政権の礎を築いた平清盛の革新的な人物像と、清盛を取り巻く平家の人びと、公家・源氏のものたちを描く。

【一言書評】
隣国中国・朝鮮両王朝の軍隊はいつまでもシビリアン・コントロール下に置かれていた中、1179年に数千騎を率いて京都に入り、後白河法王の院政を停止し、太政大臣、大納言以下39名の反平家派公家を解官・追放し、独裁体制を確率した平清盛の行ったクーデター「治承三年の政変」は、「武力による王権の否定」という世界史的に見ても画期的な出来事であり、武士を組織化した点で大きな役割を果たした鎌倉幕府の出現以上に、武士の時代の到来を告げる前代未聞の難事を成し遂げたのは平清盛の偉業であったと言っても過言ではないだろう、という著者の意見に同感である。

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