晏子(一)〜(四) (127)

【著者】
宮城谷 昌光 (著)

【出版社】
新潮文庫

【内容】
(一)強国晋を中心に大小いくつもの国が乱立した古代中国春秋期。気儖な君公に奸佞驕慢な高官たちが群れ従う斉の政情下、ただ一人晏弱のみは廟中にあっては毅然として礼を実践し、戦下においては稀代の智謀を揮った。緊迫する国際関係、宿敵晋との激突、血ぬられた政変…。度重なる苦境に晏弱はどう対処するのか。
(二)太公望以来の斉の悲願、東方の国、莱の併呑。その重責を一身に負った将軍晏弱は僅か五千の兵でそれを成し遂げると宣言した。迎え撃つ莱の智将王湫は一万の精兵を束ね、虎視眈々と斉軍の到来を待ち受ける。圧政に苦しむ敵国の民。彼らの命を何よりも尊ぶ人倫の人、晏弱のとった戦略は凡百の策士には及びもつかぬ大胆なものだった。
(三)晏弱は死んだ。斉は偉大なる英傑を失った。幼少よりその天才を発揮した息子晏嬰は古礼にしたがって三年に及ぶ篤い服喪に入った。斉は周王朝の意志を奉じて魯の攻略を繰り返す。魯は援軍をもとめ、晋傘下の十二か国の大連合軍が魯のために集結した。襲いかかる連合軍の怒濤の駆塵。軍師も軍略もない斉軍は連合軍の猛攻をどう凌ごうというのか…。
(四)崔杼は慶封と手を組み君主を弑した。一旦は崔杼の専制が成ったかにみえたが、崔氏は分裂崩壊し、代わった慶氏も誅せられた。脆弱不安の政情下、晏嬰は天の意志、民の声を全うしうるのか。後代、司馬遷がその御者になりたいとまで敬慕した晏嬰。稀代の聖人の人生の哲理を捉えた巨編。
(「BOOK」データベースより)

【一言書評】
戦火茫々、深謀耽々、屍兵累々、叡智煌々、という言葉がそれぞれ文庫の帯を飾っている斉の存亡の危機を救った晏子父子の波瀾の生涯を描く中国の春秋時代を背景にした小説で、故事成語の「羊頭狗肉」の言葉を生み、3代の王に仕え、上を憚ることなく諫言を行った斉の名宰相で子の晏 嬰(あん えい)と、その父である晏 弱(あん じゃく)の2代の活躍を扱っているが、ダイナミックなものは晏弱が主人公の前半2巻で、晏嬰が主人公の後半2巻は晏嬰を取り巻く環境の動きにどう主人公が対応するかという対照的なものとなっているが、後半2巻が動き少なく地味に感じられ、前半ほどの熱意で読み進める事は出来なかった、とは言え名作ですがね

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