【著者】
宮城谷 昌光 (著)
【出版社】
講談社文庫
【内容】
(上) 黄土高原の小国曲沃の君主は、器宇壮大で、野心的な称であった。周王室が弱体化し、東方に斉が、南方に楚が力を伸ばし、天下の経営が変化する中で、したたかな称は本国翼を滅ぼして、晋を統一したが…。広漠たる大地にくり広げられる激しい戦闘、消長する幾多の国ぐに。躍動感溢れる長編歴史小説全三巻。
(中) 称の孫重耳は、翼攻めに大功をたてた。雄偉な体躯の心穏やかな公子で、狐氏から妻を娶り、その一族の厚い庇護を受けていた。称の死後晋の君主となった詭諸は、絶世の美女驪姫に溺れ、奸計に嵌まって重耳たち公子を殺そうと謀る。逃れ出た重耳と家臣たちの、辛酸の日々。晋の国内は大きく乱れて…。
(下) 晋の内乱が鎮静し、重耳の弟夷吾が素早く君主に納まったが、軽佻不徳に人心は集まらず、重耳の帰国が切望された。刺客の魔手を逃れながら、飢えと屈辱の、十九年一万里の流浪の末、ついに重耳は晋を再建し、やがて中国全土の覇者となった。―春秋随一の名君を描く、芸術選奨文部大臣賞受賞の名作。
(「BOOK」データベースより)
【一言書評】
晋の公子であったが、国内の内紛を避け、19年間諸国を放浪したのち、帰国して君主となって天下の覇権を握り、春秋五覇の一人である名君重耳の壮大な生涯を描く傑作で、上巻では、重耳の祖父が描かれ、中巻では、重耳の父が崩れていくさまが描かれ、下巻では、さまよう重耳が描かれ、43歳から19年間の放浪生活を経て62歳でやっと王になり、よくまあキレなかったなあと、それだけでも驚きますが、そう言えば自分も母校を離れ20年間の放浪生活を送っていたことを思い出しました(苦笑)