【著者】
広中 一成 (著)
【出版社】
角川新書
【内容】
1945年8月15日の敗戦以後も日中戦争は続いていたーー。
37年の盧溝橋事件、南京事件などは知られている。だが、41年12月の太平洋戦争開戦以降、中国戦線の実態はまったくと言ってよいほど知られていない。
前書の華中戦線に続き、日本軍と国共両軍の三つ巴の戦場となった華北戦線の実態を明らかにし、完全敗北へと至る軌跡と要因、そして残留日本兵の姿までを描く。
空白の戦史を気鋭の中国史研究者が埋める、新たな日中戦争史。
【一言書評】
満州事変から盧溝橋事件、南京事件まではなんとなく歴史を追っているものの、太平洋戦争勃発後の中国大陸での戦いは続いていたにも関わらず、我々の関心が薄いものがあり、その部分に焦点を当てた一冊であり、個人的には人を殺す力は無いものの化学物質を使ったいわゆる毒ガスが、「焼光」(焼きつくす)・「殺光」(殺しつくす)・「搶光」(奪いつくす)という日本軍が実施した粛正作戦、中国では「三光作戦」と呼ばれる中で残念ながら有効な手段であったことを知ることになり、大変驚く内容であった。