室町無頼(上)(下)(162)

【著者】
垣根 涼介 (著)

【出版社】
新潮文庫

【内容】
(上) 応仁の乱前夜。天涯孤独の少年、才蔵は骨皮道賢に見込まれる。道賢はならず者の頭目でありながら、幕府から市中警護役を任される素性の知れぬ男。やがて才蔵は、蓮田兵衛に預けられる。兵衛もまた、百姓の信頼を集め、秩序に縛られず生きる浮浪の徒。二人から世を教えられ、凄絶な棒術修業の果て、才蔵は生きる力を身に着けていく。史実を鮮やかに跳躍させ混沌の時代を描き切る、記念碑的歴史小説。
(下) 唐崎の古老のもと、過酷な鍛錬を積んだ才蔵は、圧倒的な棒術で荒くれ者らを次々倒す兵法者になる。一方、民たちを束ね一揆を謀る兵衛は、敵対する立場となる幕府側の道賢に密約を持ちかける。かつて道賢を愛し、今は兵衛の情婦である遊女の芳王子は、二人の行く末を案じていた。そして、ついに蜂起の日はやってきた。時代を向こうに回した無頼たちの運命に胸が熱くなる、大胆不敵な歴史巨編。

【一言書評】
閉塞感のある時代、食えなくなった牢人が盗賊紛いのことに手を染めながらも、腐り切った一部の特権階級だけが牛耳る体制を変えてやろうとの思いを持ちながら生きている無頼たち、自らが立ち、例えその身は滅ぶとも、体制変革の引き金になればと負けを覚悟で京洛へと乗り込むその姿に、「歴史は繰り返す」という言葉の通り、今の時代に置き換えても不思議ではないものを感じました。

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