【著者】
宮口 幸治
【出版社】
新潮新書
【内容】
児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。(「BOOK」データベースより)
【一言書評】
自分の目の前にある現実、それを越える想像以上の事実がさらに拡がっている事。人はそれを知ってしまうと途方に暮れ、無力感に苛まれるものですが、それに出会ったと言う出来事は天の配剤ではないかといつも思います。問題・課題に向き合い、周辺状況を知ることにより、問題の本質を理解し、その解決を目指す。その過程で自らが見出した問題の重要性を社会にアピールし、多くの人たちを巻き込みことで、批判も呑み込みながら皆で問題に取り組んでゆく。本書の内容とは離れますが、著者が問題に気付き、その本質を見極め、どうやってこの解決に取り組むか、に至った経緯も含めて、大変勉強になる一冊でした。
世の中にはまだまだ解決されていない、いや気づかれてすらいない問題・課題が山積していると思います。人間のより良い暮らしを目指す「近代化」は未だ道半ば、と私は感じております。