人生初の富士山登頂(前編)

「日本人として生まれたからには、一生に一度は富士山に登るべき」

一体誰がこんな事を言ったのかわかりませんが、確かに一度は登って見るべきものかな、とは感じましたが、結論「単なる苦行、ないし修行」としか思えませんでした(大汗)。
「富士山は遠くから眺めるもの」ですね(苦笑)

では何か得るものはなかったのか?、無い訳では無いので、それも含めてお伝えしたいと思います。

遡ること1年前、私が某!部活の納会の際に、ある学生さんから「先生は富士山登りませんか?」と言われたのに始まります。「昔南フランス留学中にニースのフランス語学校の友人たちと、ハイキングはよくしたね。小高い山に登り普段見られないような地中海を見下ろすと気持ち良くてね」なんて話をしたところ、先の言葉につながる訳です。その学生さんは、大学(医学部?)が古くから富士山の救護所を運営している組織に所属し、その支援活動をしているとかで、是非来年は登って欲しいと言われました。

「あー、一度は登ってみたいと思うけど、来年か~。家族を置いて一人で行く訳にもいかないしね~」、「家族で来られる先生もおられますよ!」、「へ~、そうなんだ。じゃあ家内と息子に聞いてみるよ。彼らが行きたいと言えば、考えてみるよ」

結局今年はその救護所活動(家族で行っても私がそれに参加している間家族はやることがない、汗)とは関係なく個人で行くことになるのですが、学生さんとのこんなやりとりがそのきっかけでした。

で、家族の反応は? 「うん、行ってみたいね」と家内。そこでスマゲー馬鹿で運動とは全く縁のない息子の反応に委ねることに。

「お前、来年富士山行くか?」、「行く行く!」

「え~、普段何もしないくせに時々とてつもないやる気を出すんだから!」と私の心の声(苦笑)

ということで、去年から見ると来年、つまり今年は結婚25周年ということもあり、その記念行事の一つ?として、富士山に登ることが決まりました。

しかし年も超えて2018年、私も家内も忘れていた頃突然息子から「ねえ、富士山いつ行くの?」という言葉が! 「え、マジで行く気だったの」、「当たり前だろ!」

何が当たり前だ!、と思うのですが、まあ普段は「動かざること山の如く」ソファに寝転んでスマゲーやってるだけの息子が言うのだから、と重い腰を上げることになりました。

富士山に行く前に、まずは長らくして来なかった(やる時間の無かった)、まずは山さんぽから再開しようか、ということになり、この連休くらいから、高尾山や三峰山、御岳山と低山中心ですが、関東の山さんぽを行ってきました(以前異能塾で紹介しましたね)。これで体力がつく訳ではないのですが、まあ坂道を登る気力はついたかな、程度ですね。

6月になり雨の週末が続き、7月初旬の国際薬理学会という大きなイベントで忙殺され、そのうち全国的な猛暑で山を登る気が失せ、8月を迎え、結局それらしい努力もせずに富士登山の日を迎えることになってしまいました。

そこで、家内の大学時代の友人で山登りが得意で、すでに富士山も四回ほど登っているという方から種々の情報を得た家内の発案で、旅行会社が主催している「初めての人のための富士登山ツアー」なるものに家族3人で参加することにしました。これならお年寄りとか、ガチで山登りしている人たちとは違って割と楽なのではないか、という思惑からです。しかしそんな希望は後に露と砕けるのですが、、、(苦笑)

旅行代金は勿論、様々な装備品を買ってりレンタルしたりと、意外に山用品は安くはないですね。それでも家内がせっせと準備をしてくれたお陰で、考えられる?フル装備が完了。いざ出発!、というところまで来ました。

どんなイベントがあっても興奮して前日に眠れないということとは無縁の私。興奮している家内を横目に、当然前日もガーガー寝ている私。さあいよいよ富士山登頂です!

 

8/26(日)

朝5時(いつも通り、笑)に起床して、持ち物を確認すると、朝6時半のバスに乗り、吉祥寺へ。そして日曜日の朝ゆえ、ガラガラの電車に乗り新宿到着。

ここから集合場所まで思い荷物を背負って歩きます。途中のコンビニで朝食を購入! しかし日曜日の朝からコンビニは結構混雑。特にトイレは行列! さすがは東京。

外を歩いている時は少し涼しい感じでしたが、屋根の下の集合場所は数多くのツアーバスと、ツアー客の熱気もあり、汗をかくような蒸し暑さ。なんとなくワクワク感が湧いてきます。

7:50、予定通りバスは新宿を出発!幡ヶ谷から首都高に乗り、そのまま中央高速を走って西に向かいます。しかし、調布を過ぎると、天気も良いせいか日曜日の行楽客で道路渋滞!
しかし進行方向前方にはなんと富士山がその姿を見せています。
さすが自称「晴れ男」、雲一つない青空に浮かぶ富士山!、持ってますね〜(^^)

今回はツアーのため、自分がドライバーではなく、こういう時もイライラせず、バス車内で早速睡眠!(笑)
気がついたら談合坂SAでした。空には龍神様が現れ、今日の我々のチャレンジを後押ししてくれておりますね(^^)

ここで、夜お腹が空いた時のために、と、おにぎり2個とお茶1本を購入しバスへ。結局おにぎり1個は朝食を少なめにした私が食べてしまいましたが(汗)

バスはその後は順調に進み、大月から富士吉田へと進みます。時々道路の先に顔を出す富士山! 少し雲を被ってはいますが、その美しいフォルム、いつ見ても素晴らしいですね~

高速を降りて樹林の中をバスは進み、富士スバルラインを通って5合目へ!

小学生の時、まだ静岡県富士宮市に住んでいた際、車で連れてきてもらった以来の5合目ですが、その時は静岡県側なので、こちら山梨県側の5合目は初めてですね。ここから富士山の山頂まで綺麗に見えます!

しかしここは一体東京?と思うくらいの人、人、人!

全てが富士登山、という訳ではなさそうで、海外からの普通に富士山を見に来た旅行客という感じですが、東京都民のくせに混雑が嫌いという天の邪鬼な私は、その混雑を見るだけで幻滅。「あ、俺、もうここ一回でいい」

出発まで少し時間があったので、今回のツアーのベースキャンプになる「雲上閣」というお店でランチ。うどんセットを注文しましたが、まあ旅先の観光客相手のお店らしい、という感じで、特に写真を撮るのも忘れてしまいました(笑) 酒飲むわけにもいかないですしね!

出発までまだ時間があるので、少しだけ散歩。近くに「小御岳神社」というのがあったので、今回の富士登山の成功を祈願し家族3人で参拝。天気が良いため、山中湖から河口湖にいたる景色が綺麗に見えました。

そして10:50、5合目を出発! ガイドさん2人に添乗員さん1名、そして我々を含めツアー客38名、総勢41名の集団でまずは8合目を目指します。

今回のルートは吉田口。5合目から8合目の蓬莱荘まで約800 m登ります。

6合目までは順調に進みます。富士山で一番高い高度にある泉の「泉が滝」までは下り、そこを過ぎてから石畳の道を登っていくとあれもう6合目なの?という感じで、ここまでは余裕!

と言いつつ、実は5合目に着き、バスを降りた際になんとなく頭が痛い感じがして、「お、いきなり高山病?」なんて思ったのですが、とりあえず6合目まで歩いていても特に症状は変わらず。ひたすら水分を補給し、大きく深呼吸をする、を繰り返して先へと進みます。

6合目に来て、早速トイレを利用。利用の度に富士山ではチップを払うとかで、ここはまず200円でした。女子のトイレは故障があり、トイレ待ちの渋滞。これから先が思いやられますね。

さて、6合目からはいよいよ本格的な山登り! とはいえまだ坂道をひたすら上っていくという感じです。小御岳神社から見えた角度よりもより高いところから山中湖に河口湖を見ることになり、上って行く高さを実感できます。

しかし東京から見る、夕方の美しいシルエットの富士山が、実際には荒涼とした砂漠というか、火星の表面(イメージです)というか、草一つはえない岩や石が転がった世界である現実を見て、これが富士山のリアルなんだと、理解。傍目には元気そうに見えても、その内実は荒んでいる、、、まるで私のよう!?(^^)

長時間行軍の続くことが予想された富士登山。当初は「無心でひたすら登る」のかなと思っていましたが、高山病対策という事もあり、進むペースがゆっくり。さらに今回のツアーでは、山登りすら初めてという高齢者の方々が結構おられ、そういう方々が先頭のガイドさん直後を歩くため、ペースが遅く、モチベーションの上がらない私は家族とともに最後尾が指定席になりました(苦笑)

7合目に向かい結構な岩場を通る際に、1度先頭直後になったのですが、おっかなびっくりでなかなか岩場を進めない年配の女性たちがいるのを見て、これでなかなか先に進めないんだ、と理解。まあ仕方ないですね~、とはいえさらに諦めモードに(汗)

途中の休憩の度に頭痛が悪化していないことを確認し、水分補給をすることを勧められるのですが、口の中が砂だらけのため、一口目は口を濯ぎ、ぺっと吐き出し、二口目から飲むのですが、もう何度やっても口の中のザラザラが収まることはなく、この辺もなんとなく不快になって行きます。あ、実はいつも鼻閉のため、口で息している私でして、、、下山したと時に調べたら、鼻の穴の中まで真っ黒でした(涙)

ここで我が家にもハプニング出現!

7合目で登りと降りが交錯する場所があり、最後尾をぼおっと歩いていた私たちは、久しぶりに多い人ごみの中で同じツアーの人たちを見失ってしまいました。
あれ、ここが休憩場所ではなくて、先に行ってしまったんだろうか?、となり、山小屋を抜けて斜面を歩きます。

ジグザグの道をある程度進むが、先行する集団がどうもうちのツアーと違うのではないかと思い、携帯番号を伝えられていた添乗員さんに電話。しかし反応無し。
ちょうど先ほどの山小屋に入る前に、体調不良を訴えるお客さんに添乗員さんが寄り添っていたことを思います。「あ、出れないんだな、これは」

照りつける太陽のもと、赤い岩肌を見せる斜面をゆっくりと進みますが、先行も後続も人がいない状況。さすがにこれはまずいのでは?、ということで再三に渡り添乗員さんの携帯に電話するも出ず!(^ ^)
おいおい、これが生死を争うような事態だったらこんなに携帯に出れなくては役に立たないだろう、と。

四回電話しても繋がりませんでしたが、10分経ってようやく向こうから電話が!
どうやら追い越して先に行っていた模様。我々はひとつ先の休憩所に到達していたので、そのまま待つことになりました。そして本体と無事に合流。まあ長い休憩を一回とれたようなもので終わりました。

途中だんだんと日が暮れて行きます。そこで我々が目にしたのは富士山の影が綺麗に見えるという「影富士」。山頂の影を御殿場方面の雲のうえに起き、あの美しい富士山のシルエットが眼下に広がっていました。なかなか見れないとガイドさん。はい、私、もってますから!(^^)

7合目からは岩場が続き、登山経験のない私にはこれぞまさに登山!(専門家の方すみません、素人なんで、苦笑)とはいえ、太ももがなかなか上がらず、足の重さを感じるものの、高山病対策の深呼吸をしながら少しずつ、少しずつ登って行きます。

予定では夕方5時には8合目の山小屋に着いていたはずですが、8合目に入る頃にはゆうに6時を過ぎて、あたりは暗くなってきています。暗い中岩場登りは危ないじゃん! 遅い人に付き合うのもいいけど、宿に早く着かないと、休む時間も取れないじゃないの、とブーたれながらもついていくしかありません。こう言う体の極限状況になると、人間なんて(本当は私のような人間は、と言わねばならないですね、苦笑)簡単に本性を現しますね! 53歳になってもまだまだ人間の出来ていない自分を痛感しました。

そして18:30、予定の17時より遅れて、8合目にやっとこの日の宿に到着!

ここで記念写真を!、なんて思ったものの、とにかく体が疲れて、写真をばちばち取るような気にはなれず、宿の中に駆け込むことになりました。

長くなりましたので、ここで前編の終了! 続きの後編は、、、書く時間あるかな?(汗)

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