ポストコロナ時代の大学教育?

新型コロナウイルス感染症拡大により、首都圏の大学は新学期開始を連休明けに延期しているところが多いかと思いますが、ご多分に漏れず、私の勤務する大学においても連休明けの開講となり、さらに8月までの講義は対面講義をやめ、メディア講義で行う方針となりました。

そんな中うちの学部だけは、連休明けまで何もさせずに学生を遊ばせてはいけない、という教育的発想?のもと、4/22から流行りのZOOMを用いた双方向性のオンライン講義を中心として実施することとなり、昨日より開始されました。

多くの大学でオンライン講義を開始したその日に、トラブルが発生するという報告を耳にする中、初日本学部のそれは無事に終わったようで何よりです。
ただ、まだ今は講義を開始していない大学も多いため、これが連休明けに各大学でもオンライン講義が開始となり回線集中が起こると果たして今の通りに行くのか?、全くわかりませんが、、、

学部の講義開始から遅れること1日、4/23からが私の担当科目の講義開始となります。
で、私の担当科目でもZOOMでのオンライン講義をやるかどうかを決めねばなりませんでしたが、私の科目はZOOMは使わず、全学が推奨するMoodleを用いたオンデマンド配信型のメディア授業を行うことを選択しました。

オンデマンド型配信にすれば、同じ時間のアクセス集中を避けられることと、回線が繋がりやすい時間に視聴もできること、が挙げられます。また私の科目は90分講義が30コマあり、うち外部の非常勤講師の方が4名、学内他教室の先生が7名と多彩な講師陣がウリ?のため、一部はZOOMで一部はMoodleというのもややこしいかな、ということ、さらに2年前から全学で文学部・薬学部・園芸学部の学生さん対象の普遍(いわゆる教養)科目を担当しており、そこはMoodleを用いた講義を行う他、低学年次のカリキュラム編成責任者であることにより当て職として1年次の複数科目の責任者も務め、それらをMoodleを用いたメディア授業で実施すること、などがあり、「もう全部Moodleでいく!」と決めた次第です。

で、4/23の第一回講義の準備を先週末からボチボチ開始しておりましたが、講義開始を2日後に控えた火曜日、いよいよメディア授業の視聴ファイル作成を開始しました。

PowerPointで約60枚のスライド、1枚1枚に説明の音声を入れていくのですが、これが対面講義と勝手が違い、どうもうまく話せません。何度か録り直しを行い、ある程度スムーズに話せるようになったところから一気に50分以上、話し続けました。実際の講義はほぼ90分立ったまま語るのですが、椅子に座ってパソコン画面に向かってひたすら話し続けるのはなかなか疲れますね。

で、50分以上あるスライドをそのままでは長すぎるので、3分割して、それぞれをmp4ファイルにして保存。さあ、音はどんな感じかな〜、と思って聞いてみると、

「無音」

あれ、なんで?、そういえば録音終わって保存する際に、なんかが失われます、ってアラートが出ていたけど、ひょっとして.pptファイルではダメなの?

と自分なりに考えて、まずはファイルを.pptから.pptxに変えて保存し、再度全部のスライドに音声を入れていくことを50分ちょっと実施しました。

3分割してそれぞれをmp4形式にして保存、さて今度は?

「聞こえた!」

ということで、ここまでくればもう出来たも同然!、ということでこの日はここで終えて、あとは前日となる翌日に送ることにしました。

で、講義前日、今度はこのmp4ファイルを、web上でストリーミングする形式に変換する作業を行います。この日は昼にZOOMでのビジネス会議があったため、それが終わった午後3時ごろから変換作業を始めたのですが、1つのファイルの変換に60分、80分、90分と異様に時間がかかり、前日の午後4時にはUPする、と当初は表明しておりましたが、全然間に合わず、いきなり「遅れます」のアナウンスを配信(汗)

3つ全て変換し終わったのは夜11時、それを今度はMoodleにアップ。
うん、3つともちゃんと聞こえる!、これで終了!

ということで、ファイル変換に物凄い時間のかかった一日も終わり、あとは明日を待つだけだな、と眠りにつきました。

で、年寄りのためいつも通り早朝覚醒。朝4時に目が覚めてメールを見ると、「視聴できないのですが」というメッセージが複数!
あれ、昨晩は見られたんだけどね〜、と思ってMoodleを確認すると、3つの真っ黒な画面が!!

おかしい、なんでだ、、、あれ、ひょっとすると変換したオリジナルファイルを、第2回以降の変換に備えてもう消しちゃおうか!、と軽い気持ちで削除したことが理由だろうか?、と思い当たります(苦笑)

うわ〜、昨日mp4からの変換に1つ60-90分かかったのだから、流石に今朝4時とはいえ、これからもう一度やるのは辛いな〜、と涙目になりながらも、いきなり単なるテキスト資料でのメディア講義ではよくないような〜、と思い直し、再びmp4からの変換を行います。と、朝だから回線が空いていたのか、1つ10分で変換終了! 3つでも30分かからず変換できましたので、それらをMoodleにUPして再度確認、

「お〜、ちゃんと声が聞こえる!」

と事なきを得て、ホッとしました。

せっかく早起きしたのだからと、朝5:45発の吉祥寺駅行き始発バスに乗ります。
ガラガラかな〜、と思いきや、吉祥寺駅に向かう間に人がかなり乗ってきて、とてもガラガラとは程遠い弱密状態。まあ、本来であれば始発からぎゅーぎゅーで満員寿司詰め状態のバスですから、まあこんなもんですかね〜

吉祥寺駅に到着すると駅のホームはガラガラ。う〜ん、バスだけだったか混んでいたのは、と思ったのは一瞬!
6:00発の中央線快速東京行きは、こちらも1週間前、隣同士で座ることのないほど人がいなかったはずなのに、この日は隣同士で座っている場所も多く、う〜ん、ソーシャル・ディスタンス、全然だめじゃん!、という感じでした。
ちなみに私はこの日は座らずにドアの近くに立っておりました。

電車を乗り継いで、千葉駅までは総武線快速に乗車。ここはもともど下りですから乗客は多くはないのですが、驚いたのは千葉駅!
改札を出てバス乗り場に向かう途中の人の多さ!
先々週、先週、そしてこの日と木曜日は朝から千葉に来たましたが、この混雑、少なくとも先週よりも多くなってます。

う〜ん、GWを前にして、なんか緩んできているのではないだろうか?、という気がして来ますね、実際先週末は都内の銀座、新宿、渋谷あたりは極端に人がいなかったのに対し、郊外にドライブで出かけたりして、少なくとも”Stay at Home”にはなってなかったという話ですから、普通の感覚はこんな感じなのかもしれませんね。

朝7時半に大学到着。ここからは一人たくさん受け持っている科目のMoodle上にあるそれぞれのコースの情報を追加する作業。こんなのは教員ではなくてもできる仕事だよな〜、と思いながら黙々と作業。本日の講義に関しては、学生さんからの質問を受け付けるブロックと、講義の最後の15分、出席確認をかねて実施する「小テスト」のブロックを開設して、あとは講義開始時間を待ちます。

え、あれ、メディア講義だから、別に大学にいなくてもいいのでは?
はい、仰る通りです。ただ今回は第一回で、私もMoodleを使うのは初めてですので、それがうまく動いているかを確認?する意味もあり、とりあえず初回だけでも職場に待機して、スライド視聴60分、質疑応答15分、そして小テスト15分と、いう段取りがきちんと進むかどうかを見てみたかったからです。

10:30、講義時間開始。
11:30、質疑応答タイム、、、内容に関してではないですが、2件ほど質問をもらいました。
11:45、小テスト開始、、、参加人数はわかるのですが、初回は全員出席とはなりませんでした。

とまあこんな感じで第一回メディア講義は終了。
学生さんにはZOOM講義とメディア講義を比較してみてどうか、いつか聞いてみたいですが、本格実施になる連休明けを待ってからの方がいいかもしれませんな。

ということで、製薬会社主催の講演会をオンラインでやったことはありますが、学生さんへの講義をこういう形でやったのは初めて。
慣れればきっと楽になってしまうかな、という気がしますが、そうなると「大学での講義って何なんだろう?」と思わざるを得ません。

今年、コロナ騒動のおかげで全国的にメディア授業が一気に導入され、簡単に言えば、各地で「放送大学」が始まった感じですよね。あちこちでバラバラに上手い人そうでない人の講義が公になることで、一部の上手い人の講義だけを全国の学部で配信すれば座学は各大学がやらなくてもよくなってしまうのではないだろうか?、そうなると各大学は「研究」と「(臨床)実習」というオンラインでは代替できないものに特化すればいいことになり、大学の教職員数や、そもそも大学の数も大幅な見直しをすることもいとも簡単にできてしまうようになるのではないだろうか?、そんなことが頭を過ぎりました。

2020年の新型コロナウイルス感染拡大は、ひょっとすると「B.C.(紀元前)、A.D.(紀元後)」のような、我々が生きて来たこれまでの「プレコロナ時代」と、我々がこれから進むであろう「ポストコロナ時代」という新時代を規定する重大な転換点なのかもしれない、なぜならこの新しい時代に入ってしまった我々は、もう元の世界には戻れない、そんな気がしてなりません。

学ぶって何か?、学部って何か?、大学って何か?、組織って何か?、人生って何か、生きるって何か?、これまで当たり前と思って来たことは全然当たり前ではないことに気づいてしまった我々。

いやでもそんなことを考えざるを得ない、人生初のメディア講義実施日でした。

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