昨年8月に執筆した原稿が、本年1月に発行された東京ゐのはな会の機関誌「Inohana Tokyo」
に掲載されておりました。半年遅れになり(結果内容は1年遅れ、汗)、折角ですので、今更ですが、ここにご紹介をさせて頂きます。
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千葉大学医学部の今
東京ゐのはな会理事 安西尚彦(千葉大学)
千葉大学大学院医学研究院 副研究院長(広報担当)/薬理学教授の安西です。ご指名を頂きましたので、現時点(令和4年7月)での千葉大学医学部についてご紹介を致します。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックから1年以上が経過した昨年令和3年4月、前医学研究院長であった中山俊憲先生が学長となり、新たに先端応用外科学教授の松原久裕先生が医学研究院長・医学部長に就任されました。
松原体制下でのここまでの大きなイベントの1つは、昨年4月に竣工した新医学部棟への旧本館からの引越しで、昨年3月から始まり9月までに全ての教室の引越しが完了しました。前医学研究院長の中山先生の時代に決まっていたこととは言え、これが恙無く終わることは、松原新医学研究院長にとりまして大きなことであったかと思います(これに伴い、昨年10月をもちまして旧本館は閉鎖となっております)。私の薬理学教室は昨年7月に引っ越しでしたので、新教室になりちょうど1年が経過した訳ですが、まだ完全に引っ越し作業が終わったとは言えないまでも、久しぶりの科研費基盤研究Bと挑戦的研究(萌芽)のダブル採択により新規に購入する実験機器の搬入も引っ越しに合わせて終了し、今年度は安定した研究活動が遂行されております。
医学研究院・医学部の新執行部体制になり、松原先生が力を入れておられる柱の1つが、千葉大学を「指定国立大学法人」へと引き上げることで、これまでに東大以下10大学が指定国立大学法人となっている中、次の枠に千葉大学が入るために、医学研究院として大学に貢献できることは、やはり研究業績・外部資金獲得や寄付金獲得などで貢献することでは無いか、ということで企画戦略委員長である桑原先生(脳神経内科)を中心に、科研費申請のための説明会開催や申請書の事前チェックなど委員総動員で進められております。
もう1つ、松原先生が力を入れておられるもう柱の1つが「広報」活動です。これまで「広報・連携・国際化委員会」として存在していたものを、広報を重視するという方針のもと、「広報委員会」を独立させ、「連携・国際化委員会」(宇野隆委員長)と分け、その広報委員長に私が指名され就任致しております。
松原先生のご方針を受け、昨年度はこれまで年に20件前後であったニュースリリースの回数を倍以上の50件を目標に掲げ、解剖慰霊祭、白衣式、七天王塚清祓式などの医学研究院・医学部公式行事の紹介から、これまで「プレスリリースはImpact Factor 10以上」という制限を撤廃して、希望があればIFに関わりなく(ハゲタカジャーナルを除き)プレスリリースができるものとして、出来るだけ多くのことをホームページ上で記事として公開することとさせて頂きました。これにより昨年度は目標を超えるニュース記事を紹介出来ました。先頃松原先生の指示の下、ワーキンググループ主査である大鳥精次先生による取りまとめを経て、10年ぶりに改定がなされた医学研究院の次の10年の指針となる「グランドデザイン将来構想2022」も先日ホームページにて公開されております。
またホームページだけに止まらず、より多くの人、特に若い方々への発信を念頭に、全国の医学部でも珍しいFacebook, Twitter, InstagramというSNSの医学研究院公式アカウントを開設して、ホームページとリンクしたリアルタイム情報発信を行う体制を築きました。コロナ下での活動のため制限が多くありましたが、SNSのフォロワーはFacebookで578名, Twitterで381名, Instagramで126名まで徐々に増えております。ホームページに載せるほどではない気軽な情報も配信し、医学研究院・医学部自体への関心を持ってもらうことも目指しております。
そして本年4月に医学研究院・医学部公式ホームページの大幅なリニューアルも実施しました。ただ、これで終わりというものではなく、今後は統一したデザインでの教室ホームページの共通化や、海外での認知度上昇を目指し、各教室の英語版ページの充実化などを図って行きたいと思います。
最後に紹介したいものが、「千葉大みらい医療基金」です。国立大学法人を支える国からの運営費交付金は年々減る中、国民の安心・安全な未来を目指して最先端の医学研究を進めている医学研究院・医学部の日々の活動をご支援頂くべく、整形外科学教授の大鳥精司先生が室長を務め、令和2年2月に開設された千葉大みらい医療基金室が中心となり、企業や個人の皆様方から広く寄附金を受け付けております。昨年末までのご寄付の総額は323,115,101円に上ります。高額なご寄付を頂いた方には、医学部講義室のネーミングライツも付与し、既に第1から第3までの講義室の命名を頂きました。大鳥先生はこの功が評価され、その後千葉大学副学長(基金担当)に就任しておられます。
以上、大変長くなりましたが、コロナ下においても我々は足を止めることなく、未来にむけて着実に進んでおりますことをご紹介させて頂きました。
東京ゐのはな会ご所属の先生方におかれましては、引き続き母校である千葉大学医学部の学生・教職員へのご支援のほど、お願い申し上げます。
追伸:来る2022年11月30日から12月3日まで、パシフィコ横浜にて、第96回日本薬理学会年会を私が会長として主宰させて頂くこととなりました。千葉大学医学部としては、昭和29年4月(第27回)の薬理学第3代教授の小林龍男先生、昭和62年3月(第60回)の脳研薬理教授の萩原彌四郎先生以来、私で35年ぶり3回目です。この場を借りてご紹介をさせて頂きます。