University of Nevada Reno, Department of Physiology & Cell BiologyのResearch Assistant Professor 倉橋 正明 先生による、「大腸運動制御メカニズムの新しい展開 〜機能性腸障害治療研究の新しい標的の発見〜」と題する薬理学教室セミナーを附属図書館亥鼻分館3Fライブラリーホールにて行います。
ご関心をお持ちの学生および先生方の御来聴を歓迎致します。
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日時: 令和2年1月21日(火) 17:00〜18:00
場所: 亥鼻分館3階ライブラリーホール
講師: 倉橋 正明 先生
Research Assistant Professor, Department of Physiology & Cell Biology, University of Nevada Reno
演題:「大腸運動制御メカニズムの新しい展開 〜機能性腸障害治療研究の新しい標的の発見〜」
要旨:腸管平滑筋層内で平滑筋細胞と神経細胞及び神経繊維の間に介在する細胞として発見されたInterstitial cells of Cajal (ICC)は、1980年代末以降、胃及び小腸蠕動運動のペースメーカー細胞であり、腸管神経から平滑筋細胞へのシグナルを介在している事が明らかになった。これに対しICCと同様な細胞分布を持つ双子のような細胞であるFibroblast-like cells(FLC)の機能は未解明であったが、演者は電気生理学的手法により大腸FLC(現在はPDGFRα+cellsと呼ばれている。)の生理機能を発見し、大腸平滑筋層を構成する3つの細胞の生理機能が全て明らかとなった。演者はさらに大腸の交感神経性制御の再検討に着手し、PDGFRα+cellsを介した新しい制御経路を発見し、この経路が大腸の交感神経性制御機構の中心的な役割を果たしている事を突き止めた。また、ヒト大腸にも同様なPDGFRα+cellsを介した大腸交感神経性制御経路が存在し、この経路が機能性腸障害の治療薬研究の新しい標的となり得る事を発見した。 本セミナーでは、PDGFRα+cellsの機能、新しい大腸運動制御メカニズムの概要、そして新しい概念を通して発見した新しい大腸交感神経性制御経路について、米国での研究生活の苦労話も交えながら紹介したい。
講師プロフィール
倉橋先生は1998年名古屋大学医学部を卒業後、臨床研修を経て、同大大学院に進まれ、2008年に医学博士を取得されました。翌年より米国University of Nevada Renoにポスドクとして留学され、2014年からは同大Research Assistant Professorに就任されておられます(現在迄)。
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県千葉高の後輩で、名大医のご卒業。
消化器内科から米国に渡り、基礎研究の道に入られた倉橋先生。
将来基礎研究の道に進みたい方、研究で留学をしたい方は、ぜひご参加ください!