第96回日本薬理学会年会長ご挨拶

第96回日本薬理学会年会
年会長 安西 尚彦
千葉大学大学院医学研究院薬理学 教授
/獨協医科大学医学部 特任教授)

謹啓 時下ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。

平素は本学会の活動に格別のご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度、第96回日本薬理学会年会を、2022年11月30日(水)~12月3日(土)に、パシフィコ横浜会議センターにおいて開催することとなりました。本学会の開催に当たり、一言ご挨拶とお願いを申し上げます。

今回はJPW2022(日本薬理学関連学会週間)として、第43回日本臨床薬理学会学術総会(会長:松本直樹先生)との同時期開催となりますが、臨床薬理学会との同時(期)開催は2018年京都で開催されましたWCP2018以来4年ぶりとなります。

さらに本年2022年は、3月に福岡で第95回年会(会長:宮田篤郎先生)が開催するのに続き12月に第96回年会が開催される年に2回の年会がある特別な年であり、宮田年会長の発案により、「日本における薬理学イヤーPYJ2022」として今年1年の年会・部会を連携する企画を実施することとなりました。年に2回の年会がある年は昭和44(1969)年に、3月と12月に開催されて以来、53年ぶりのこととなります。

この歴史的な伝統ある学会が、COVID-19パンデミックから2年が経過した状況で開催されますことは、歴史の節目として、新たな時代への旅立ちに符合しているようにも感じられます。JPW2022として開催されます両学会のポスターは二つの学会のポスターを合わせることで、真ん中の日本丸を両学会で支える構図となりますことは、我が国の創薬科学を両学会を中心に皆で手を取り合って進めて行こうという思いを表しております。

本稿を執筆しております2022年1月時点ではCOVID-19感染拡大は未だ留まるところを知りませんが、このパンデミックは既に世界中に大きな爪痕を残しております。その中で私が痛感致しましたのは、創薬科学の我が国の安全保障としての重要性であります。資源を持たない我が国は石油だけでなく、食料も輸入に頼っておりますことは国民の間で共有されていることかと存じますが、COVID-19に対する国産ワクチンおよび治療薬開発の遅れは我が国の国民の健康を守れないだけでなく、世界の中における貢献不足ばかりか、自国の存在感すら失わせる由々しき事態であります。

その意味で今回JPW2022として開催する意義は、2つの薬理学会の連携だけに留まらず、創薬科学に関連する多くの学会間での包括的な連携の端緒となり、それぞれの視点から我が国の創薬科学の未来を語り合う場となることにあります。

さらにもう一つ重要なことは、科学的に正しい「クスリ」の知識を、医療従事者・関係者のみならず、多くの方々が学べる場としての学会の役割です。これには学会会期中の対面セッションだけでなく、オンラインを積極的に活用することで、場所的な問題だけでなく日常の診療業務に従事せねばならない時間的な問題をクリアし、多くの皆さんが最新のクスリについて学ぶことが出来る場を提供出来ればと考えております。

本年会では、こうした背景を踏まえ、「つなけよう、つながろう」を両学会共通のスローガンとして掲げました。私見ではございますが、学会とは研究そして教育を目的として、様々な領域から多くの人が集う、言わば「祭」の場と考えております。今回のJPW2022/第96回年会は、薬理学会・臨床薬理学会を中心に創薬科学関連の方々が集い、「創薬」という神輿を担ぐ「薬理学まつり」です。COVID-19により分断された様々な違いを乗り越えてこのまつりに集う全ての皆さまが、知らないうちに大きな輪を作ってゆく。

「つなげよう、つながろう」

のスローガンには、そんな我々の思いが込められております。

是非多くの皆様の積極的なご参加とお力添えを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

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