日本薬理学会特別委員会 DX推進委員を拝命

この4月から新体制となった日本薬理学会理事会。私は2期計4年の理事任期を終え、この4月からは第96回年会長としてオブザーバー参加をさせて頂くこととなりました。

理事会が新体制となると委員会のメンバー構成も一新されることになります。

私は関東部会から常置委員として選出されているため、前期委員長を務めていた総務委員を拝命しました。

そして過去4年委員を拝命している国際対応委員会では今期から副委員長を拝命することに。

さらに今期から「将来構想委員会」「DX推進委員会」の2つの特別委員会が新理事長の肝入りで新設されましたが、そのうちの「DX推進委員会」に、総務委員会から参画することとなり、DX推進委員も拝命しました。

この「DX推進委員会」ですが、 【ミッション】とされているのは、
「100周年記念事業としてのDXプラットフォーム構築」
「薬理学会の活動(学術集会を含む)の基盤となるDXプラットフォームのデザインとアップデート」
となっております。

新設の委員会、となれば、どう進めて行くのか、は委員長だけに任せるわけにはいかず、委員全員で感上げるべきものではないか、と思い、自分なりにこの委員会をどう進めてゆくのかを考えてみました。
もし塾生(このblog読者)の方でご意見がお有りの際はぜひお聞かせ頂ければと思います。

そこで初めに、そもそも「学会活動」とは何かの原点に返ってみたいと思います。
ググって出てきたのは、日本分析化学会 前会長(2020年)の東工大 岡田先生の巻頭言「学会活動は何のため」でした。

岡田氏の主張をまとめると以下のとおりです。
学会活動とは、学術振興,すなわち学術情報の交換や成果発表,研究・教育への問題意識を共有できる仲間との交流などが目的になるのではないだろうか。
人によっては「研究費の獲得や受賞への期待、国や社会に対してものを言う,圧力団体としての存在意義」かもしれない。
さらに「参加者と旧交を温め,知己を作り,情報交換することで新たなアイデアが生まれ、また海外や地方に出張し,仲間と話すことで気分一新,普段の雑務からも解放され,新しい研究構想が生まれることも少なくない」のは、学会活動、特に学術集会という面でのメリットかと思われる。

と同時に、スケジュールが許す限りたくさんの年会や討論会などに学生を派遣し,自らも参加し,招待されれば普段出席しない学会にも出かけ,さらに国際会議にも出席する、このような機会が最近多くなり過ぎではないか?という指摘も増えており、ましてや(我々のように) 年会や討論会,国際会議などの運営を任されると、学術振興のためとは言いつつ,赤字を出してはならない,学会のために黒字を出すべしという周囲からの圧力に晒され,学会の運営に疲れてしまう人も少なからずいるはずで、全体として仲間から,特に若い人から貴重な時間を奪ってしまう可能性が高いのではないかと考える。

2020年8月の岡田先生のご意見はコロナ禍の下で記載されたものですが、巻頭言中にはコロナに触れている部分はありません。そこで私なりに追加をしますと、今回のコロナ禍は、学会活動にオンラインの概念を導入し、人々の概念を変えた、と言えるのではないかと思います。
オンライン化が進んだことにより、学会の年会/総会として部会/地方会だけでなく、小規模な研究会や学会その他の委員会などの掛け持ちも用意になり、対面での参加の必要がなくなったことで、カラダの負担は大きく減少したのではないかと思います。また対面/現地開催に拘る年配層とオンラインでいいじゃないという若手層とのギャップも見ててきたところで、ポストコロナ時代に過去の対面オンリーの学会(学術集会)に戻すだけの方針で良いのか、とも感じております。

次に、わかっているようでわかっていないかもしれない(笑)DX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、ググってみますと、DXとはDigital Transformationの略語で、Transformationは「変容」という意味なので、DXを直訳すると「デジタルによる変容」、つまりデジタル技術を用いることで生じる、生活やビジネスの変容を意味します。ビジネスにおいては「データとデジタル技術を活用し、激しい変化への対応、業務や企業文化の変革、競争の優位性を持つこと」と捉えられているようです。

とここまで考えてますと、このDX推進委員会では、まず学術集会・委員会などの学会活動にデジタル技術を組み入れることで、何が改善できそうか、そしてそのためには何をすれば良いか、をまずはブレストのような形で始め、デジタル技術を取り込んでいる国内外の学会の実情調査や会員のDXへの意識調査を行って行くことが必要かな、と感じました。
本委員会のミッションが「100周年記念事業としてのDXプラットフォーム構築」ですから、とりあえず4年を一区切りとして、初期2年はまずは現状調査を行った後、委員会の方向性を策定し、後期2年で実現に向けた実際の方法の提案、のようにある程度長期的な視点で第100回にむけて進めて行くのが良いかなと思いました。

「デジタル技術を取り込んでいる国内外の学会」として、ここ異能塾では何度も紹介をしている第96回年会/JPW2022のサテライト企画である「新薬理学セミナー”Digital Pharmacology Conference (DPC)”」があげられます。

https://www.congre.co.jp/jpw2022/dpc/index.html

DPCは、当初より現地とオンラインの両方によるハイブリッド開催と、ニコニコ動画のような視聴者が演者にコメントを投げられ、その投げられたコメントを見て演者はその場で反応するというリアルタイム双方向性学会発表の形をとることを予定しており、次代の学会の将来はこうなるだろう、という提案を兼ねたものです。
愛媛大の茂木先生を会長とするDPCですが、副会長は、SNSのTwitterを集会活動に取り込んだ日本循環器学会の情報広報委員長の国福大の岸拓弥先生で、特別講演演者の一人が、ともにDX推進委員をされる東大の池谷先生ですから、ぜひ新薬理学セミナーDPCを薬理学会DX推進委員会協賛のような形で、1つの実験モデルとして委員会活動の1つに組み込んで(新薬理学セミナー”Digital Pharmacology Conference (DPC)”支援)頂けたらいいなと思います。

とまあ、今思いつくことはこんなところですが、日本薬理学会のメインイベントの学術集会である第96回日本薬理学会年会長として、実際の企画を生み出すことが出来る立場を生かし、新理事長からの期待に応えるべく、一人の委員としてDX推進委員会を意義のあるものにできればと思います。

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