令和2年11/21(土)にオンラインで開催されます「トランスポーター研究会第5回関東部会」のプログラムが以下のweb siteにて公開されております。
https://www.jtrak2020.info/
このJTRAK2020にて、私は13:10から基調講演として、「ポスト・コロナ時代の日本を生き抜こう!:大学、学会、トランスポーター研究」と題するお話をさせて頂くこととなりました。勝手に抄録を転載させて頂きます(^^)
今年4月からは日本薬理学会理事も2期目に入り、さらに4月から日本生理学会理事も拝命することとなりました。今年の年会は欠席とさせて頂きましたが、この関東部会も「卒業」させて頂きたいと考えており、今回がこの部会での最後の講演にさせて頂きたいと思います。
まあ自分が設立に関係した研究会として、いつも好き勝手なことを話させて頂けるのは嬉しいのですがね(^_-)
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「欧州最大の知性」とも呼ばれるエマニュエル・トッド氏は、今年発行された著書「大分断 教育がもたらす新たな階級社会」(PHP新書)の中で、こう語っています。
2020年、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)が猛威を振るいました。多くの国はロックダウン(都市封鎖)を行い、経済活動や人の行き来を停止しました。
コロナ以後(ポスト・コロナ)について、私は「何も変わらないが、物事は加速し、悪化する」という考えです。
コロナ危機が収束の兆しを見せ始めた頃、アメリカでは白人警官による黒人市民の殺害が社会的波紋を引き起こし、全米で黒人差別に反対する大規模なデモが起きました。このデモには、黒人のみならず、高等教育を受けた若い白人たちー主にバーニー・サンダースの支持層―が多数参加しました。
コロナ危機後の最初の出来事がこのアメリカで起きたデモだとすると、実はコロナ以前のアメリカにすでに存在していた傾向と、今起きていることの本質は全く変わっていない、ということがわかるでしょう。というのも、コロナ以前から白人の若者も、高等教育を受けた若者も、非・特権階級化しているという傾向はすでに見られていたからです。
新型コロナウイルスのパンデミック以後に世界はどう変わるか?、という問いに対し、トッド氏は「ポスト・コロナ」の社会に大きな変化を求める向きもある中で、今後も社会はそれまでと同じ傾向を辿り、物事がさらに深刻化するだけであろうと言う。
望むと望まざるとに関わらず、このような状況を生きねばならなくなった我々は、研究者としてどう行動するべきなのか?、いやが上にも全員が考えねばならない時が来ているのではないかと私は感じています。
その際に最低限考えねばならないことは、研究者としてのポジション(立場)を得る職場としての「大学」の未来、研究者がポジションにて研究資金を得て実施した結果得られた成果を発表し、その評価を受ける「学会」の未来、そして現在従事している「トランスポーター研究」の未来、になるかと思います。
2016年1月、薬理学教室の教授として20年ぶりに母校に戻り、その後ひょんなことから附属図書館の亥鼻分館長(医学図書館長)を拝命し、さらに昨年4月からは副学部長という役職を拝命し得られた経験とそれに基づく考察を日々繰り返す中で私が感じたことを披露したい。