千葉大学リーディング育成プログラム候補「細胞間クロノ・コミュニケーション」と分子キラリティ研究センター分子シグナル研究部門「生理機能と分子標的創薬研究グループ」の合同セミナーを7月25日におこないました。
本セミナーでは、帝京大学薬学部 医薬化学講座 基礎化学研究室・教授 楯 直子先生に、「D-アミノ酸を軸としたアミロイドβの構造と物性に関する研究 ~ タンパク質の構造に基づく機能発現 ~」という演題で御講演いただきました。
近年、加齢に伴い生体内にD-体に異性化したアミノ酸が生成することが明らかとなっており、アルツハイマー病患者の老人斑からも異性化アミノ酸D-Aspが検出されています。そこでアミノ酸のD-体への異性化に着目し、D-Aspに誘導・制御されるアルツハイマー病の病因分子Aβのβシート構造化、それに続く線維化および凝集体形成という構造・物性上の特徴的な一連の現象と神経細胞毒性発現との連関について、構造化学的視点から解析した研究成果について御紹介いただきました。さらに、D-アミノ酸含有タンパク質を探索するスクリーニング法の開発についてもご教示いただきました。
セミナー室は満席で、講演後の議論も活発におこなわれました。学内外研究グループの連携を深めるべく、今後もこのような合同セミナーを積極的におこなっていきたいと思います。