うつろ屋軍師(65)

【著者】
簑輪 諒

【出版社】
祥伝社文庫

【内容】
信長の家老にして「米のように欠かせぬ男」と言われた知将・丹羽長秀。だが清洲会議で秀吉を支持し、越前・若狭・加賀123万石の大封を得たとき、丹羽家取り潰しの定めは決まってしまった!長秀死後の4万石への大減封、家臣団離散の中での小田原出兵、そして、北陸の関ヶ原「浅井畷」における前田家100万石との死闘…。風前の灯火の丹羽家に残されたのは、家中も「空論屋」と呆れる新米家老・江口正吉と、城オタクで人の好い若殿・丹羽長重、そして、あまりにも大きすぎる「理想」だった!理不尽に滅封された丹羽家の若き新米主従の空論で理想を貫いた、胸熱くなる闘いの軌跡!第19回歴史群像大賞入賞作品。

【一言書評】
1987年生まれ、栃木県出身の著者、箕輪氏。物心ついた時から?バブル崩壊後の不景気な生き、「ガツガツしたところで出世できない」と言う実感ゆえ?か、以前に取り上げた「最低の軍師(21)」でもそうであったように、あまり取り上げられることのないマイナーな戦国の実在人物を扱い、時代に翻弄されながら「餓鬼畜生の徒輩と武士を分かつものは何か?」を胸に如何に生き抜いたか?、歴史に名を残す力がありながら時代の波に乗れないマイナー主人公に閉塞したイアの時代を生きる我々がかぶり、我がことのように感じる、そんな小説でした。

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