私が日本側連絡担当を務める第7回日中薬理学・臨床薬理学ジョイント・ミーティング “7th CJJMBCP”(Seventh China-Japan Joint Meeting of Basic and Clinical Pharmacology)が、8月4−5日に中国雲南省昆明のEmpark Grand Hotel Kunmingにて開催されました。
私が日本薬理学会を代表して鳥取県米子市で開催されました第6回日中薬理学・臨床薬理学ジョイント・ミーティングで講演をさせて頂きました経緯は「今日の塾長」の以下のページに記載しております。
初春に思う2:一国際対応委員として感じたこと 〜2011年以来久しぶりに再開された「日中薬理学・臨床薬理学ジョイントミーティング」に参加して〜
さらに、私がこの第7回の日本側連絡担当になってしまった経緯は、昨年京都で開催されましたWorld Congress of Pharmacologyに関する「今日の塾長」の以下のページに記載しております。
という事で、東アジアの中で未だ一度も足を踏み入れたことのない国「中国」に、嫌でも行かなくてはならなくなり、ついに今年8月3日、中国入国を果たした次第です。
正直人生初のこの中国出張はやはり私にとって非常に重要であった、そしてやはり行って良かった!、と思える非常に有意義なものでしたので、それをこれから書かせて頂きたいと思います。
Pre-KUNMING
昨年京都でのWCPの際に、中国薬理学会の先生方との間で、翌年の開催地が昆明であることは決まってはおりましたが、「いつ?」開催するのかが、不明のままでした。
前回の米子では、2017年12月上旬の臨床薬理学会開催に合わせて来日すると言われていながら、全く連絡も無く、その時の日本側連絡担当のD医大S教授はどうなんだろうな〜と思われていたところ、学会の約1ヶ月前、10月下旬になって、「12月米子に行く!」という連絡が来て、残り1ヶ月となって第6回日中のプログラム作成など準備を突貫工事にて始められた様子を拝見しておりましたので、正直日本側連絡担当を拝命した際には「これはとんでもない貧乏くじを引かされた!、おまけにずっと避けてきた中国に、いよいよ行かねばならないのか!」と心の中で泣いておりました(涙) S教授みたいにみんなに攻められて、、、俺嫌だ!、と。
しかしどうせ年明けでないと連絡なんて来ないだろうと思っていたのですが、私が総会長を務めた第49回日本消化吸収学会総会が終わった11月中旬、中国薬理学会CNPHARS事務局のYingさんからメールが届きました。
「mid-2019、late of Julyに第7回日中”7th CJJMBCP”を開催するのはどうか?」
日本薬理学会JPSでは国際対応委員、日本臨床薬理学会JSCPTでは国際交流・リエゾン委員と奇しくも?両学会の国際交流部門を担当していることもあり、今回の”7th CJJMBCP”日本側連絡担当を拝命したのは、まあある意味必然?ですかね。
実は私は国際交流を担当するのは初めてではなく、遡ること17年前の2002年10月、フランス留学から帰国してまだ1年ちょっとのペーペーの助手時代、第16回日韓薬理学合同セミナーがK林大学医学部にて、同大医学部薬理学のE教授を会長として開催されましたが、その際の事務局長を務めたのが私でありました。
この際に、E教授より、シンポジウムの発表者や座長は必ず両国から同数出すことにすること、などなど、2国間交流の「いろは」を叩き込まれたので、日韓と日中の違いはあれど、同じ東アジアで儒教・仏教文化の国、ということで、今回の日中も、要所を外さなければ、あとはまあ何とかなるだろう!、という思いでおりました。
決まったものはもうやるしかありませんから、早速両学会の当該委員会委員長に打診に、候補日の選定作業に入りました。しかし、NEURO2019と名付けられた第42回日本神経科学大会と第62回日本神経化学会大会の合同大会が、2019年7月25日(木)から28日(日)にかけて新潟で開催されるということで、結局7月下旬ではなく、8月上旬に落ち着きました。すなわち8/4-5にメインの会を、そしてその前後は移動日とし、8/3-6開催という線で話が年末までには決まりました!
D医大S教授、「早い、俺の時とは比べ物にならない!」とのこと(笑)
年末年始の休暇を挟んで、今度はシンポジウム提案に入ります。
JPS提案の “Neuropharmacology on Cognitive Function”、そしてJSCPT提案の”Recent trend in pharmacogenomics”が、ともに中国側からOKの返事が来たのが2019年1月中旬。
その後さらに
Morning Aug 4th: Young Scientists oral presentation. Totally 12 young researchers (PhD candidates or postdoc fellows), including 6 from Japan and 6 from China, give presentations. Each speech has 15 minutes (12 min presentation + 3 min Q&A).
Noon of Aug 4th: Lunch and poster presentation.
Afternoon of Aug 4th: Two sequential symposia. Each symposium contains 4 lectures (2 from Japan and 2 from China) in 2 hrs.
Evening: Meeting banquet.
というDraft scientific programが1月末までには決まります!
2月の中国の旧正月の休みを挟んだものの、3月末までに中国側から
Symposia proposal on CNPHARS side:
1. Neuropharmacology on Cognitive Function
Chairperson:
Prof. Lin Li (Xuanwu Hospital Capital Medical University)
Symposiasts:
Prof. Jianguo Chen (Tongji Medical College of Huazhong University of Science and Technology)
Prof. Yong Shen (University of Science and Technology of China)
2. Recent trend in pharmacogenomics
Chairperson:
Prof. Wei Wei (Anhui Medical University)
Symposiasts:
Prof. Min Huang (Sun Yat-Sen University)
Prof. Wei Zhang (Central South University)
という連絡が来て、プログラムの午後の部分が決まってしましました。
大阪での薬理学会の熱気も冷めやらぬまま、4月に。そこでいよいよJPSおよびJSCPTの両学会への第7回日中”7th CJJMBCP”の開催案内を配信することとなりました。
中国での前回開催となるウルムチでの第5回日中では、日本側の参加者が10名前後という寂しいものだった、と前回ご参加の先生から伺っておりましたので、ここは最低20名(各学会で10名ずつ)は確保したい、そうでなければ中国に日本側の熱意ややる気を疑われてしまうことになり、それは大変失礼なばかりか、日本が中国を軽視していると捉えられると、将来にわたり今度は日本が中国から相手にされなくなる危険性を秘めていると感じていたからです。
ということで、3月の理事選挙の時に出来上がったネットワークを活かして、特に本務先?であるJPSの方では、かなり積極的に個別アプローチをしたのですが、流石に理事選のようには行かず、皆さんなかなか「行く!」と言ってくれない、正直厳しい状況が続きました。
そりゃそうですよね、中国に行きたくないですよね。北京ではPM2.5による大気汚染のせいで空は常に曇っていて青空が見えず、また食事も安全性に問題があり、日本に来た中国人が食料品をバク買いして行くのは、自国の食料品に信用が無いからだ、なんて話を耳にしていれば、誰だって行きたくは無いですよね。
かく言う私も本当は中国には行きたくなかったのです。役目上仕方ないから、勧誘活動もしましたが、「自分が行きたく無いんだから、みんなが行きたく無いのもわかるよな〜」なんて色よい返事をもらえなかったとしても、俺もそうだしな〜、なんて変に理解してしまう自分がいました。
話は変わりますが、日本の学会の国際化のために日本開催の国内学会であっても、参加者は日本人しかいない状況であっても、口演発表は英語でやる、と言う学会が増えているように思います。
簡単に言えば私は「反対派」です。英語の必要性もわかる、グローバル化の重要性もわかる、でも何で日本人しかいない場所であえて下手な英語でろくな議論も出来ない人が英語で無理にやるのだろう、その必要性がないでは無いか?、と言うのが私の意見です。
そこで活用?すべきなのが、日韓や日中と言ったアジアの二国間交流では無いかと考えます。つまりそこには英語を使う「必然性」があるだけでなく、同じ英語ネイティブではないもの同士、発音が下手でも文法がめちゃくちゃでも(これ私!)、とにかく英語でなければ伝わらない環境にあるから必死で英語を使う、しかも英語をうまく話せないもの同士で「間違えちゃいけない!」と言う日本人にありがちな妙なプレッシャーも感じないで済むのが日中や日韓だと思うのです。
最近は韓国は微妙な政治状況のために旅行者が減ったようですが、中国や韓国との交流によるインバウンド効果は、単なる観光客や経済だけでなく、我々の研究の世界にももっとインバウンド効果とも言うべきものを発揮させるべきではないか?、そう私は思います。
なので、韓国や中国、台湾などからの特別講演やシンポジストをお招きし、それらの国々から研究者が日本の学会に参加してくれるようにして、主に東アジアから来られる参加者のために英語のセッションを増やす、これが参加者増とそれに伴う収入増、さらに英語化によるグローバル化への対応が一石二鳥(一石三鳥?)でできるのではないか、そう思っております。
(来年3月、横浜で開催されますY市大G嶋先生が年会長を務める第93回年会は、その意味で中国および関係者を3名guestsとして招いているのは上記の戦略的に正しいことと思います)
さて、話は戻り、日本が令和に変わり、10連休も終わった5月上旬、YingさんからRegistration feeに関する情報がやってきました。そして”7th CJJMBCP”のweb siteを作成するので、国際委員とspeakerを除く一般の方々はweb siteからOn line registrationをしてほしい、と言うことでした。
しかしちょうどこの頃、講義や学会、学内行政など様々なことが一気に押し寄せてきたため、Yingさんからのメールにノーレス状態が続きました。とにかく忙しかったので、勘弁して〜!、と言う気持ちでレスしたいけどレスできない状況でしたが、2週間ほど経過した際、Yingさんから催促のメールが!
ふ、ふ、ふ、大陸的な中国の人たちをさらに上回る、フランス仕込みの大陸性の私って何気にすごいかな?なんて一人アホな考えを持っておりました(苦笑)
それはさておき、5月末時点での日本側参加者総数は33名! これは前回のウルムチの約3倍と言うことで、数的にも面目は保ったかなと言えますが、すごいのは参加者の顔ぶれ!
JPS側の現理事長と元理事長、JSCPT側の現理事長と前理事長&元理事長が揃い踏み!JPSからは理事クラスも多数ご参加を頂き、中国側を驚かせる陣容になったのではないかと自負しております。
さあweb siteも出来上がりましたが、ここで問題発生。日中のwebサイトから参加登録をしたのだが、届いているかわからなので、確認してほしいと言うメールを頂きました。そこで私が参加費をクレジットカード払いをしたところ、
「送金完了!」
と画面に出るものの、支払い内容相手先などのreceiptに相当するものは表示されず、さらにメールアドレスを入れさせておきながら支払完了メールも来ない!、と言うかなり杜撰?なweb siteであることがわかりました。
そこで早速Yingさんに連絡。その後も状況は大きくは改善しませんでしたが(苦笑)、とりあえず先方には支払い者リストがある、と言うことを知り安心しました。
そしてもう一つの問題、6名のYoung Scientist Sessionの日本側若手6名をどう選ぶか、でした。そもそも一般演題の応募者が当初8名しかおらず、その中には大学院生、ポスドク、助教クラスの応募者が6名しかいない、と言うことで、これはこの6名にoralで発表することを依頼するしかない!、と言うことで、嫌がるポスター発表者を一人一人説得してoral presennterに回って頂くこととなりました。
で、6月も後半に入った頃、中国側から「まだホテルの部屋には余裕があるので。もっと日本からの参加者を募ってほし!」と言う依頼でした。
さて、どうするか?
まずは両学会のメーリングリストで案内を配信するのが一案。
で、JPS近畿部会はすでに終わった後なので、これからアナウンスできるのは7月のJPS関東部会のみ。と言うことで、7月6日土曜日。”7th CJJMBCP”のパンフレットをH薬科大学のK先生にお許しを頂き、再度の参加者増を目指しました。
(最終的には、あと1名増えて34名で確定しました)
この後、8/5のOptional tour参加希望の方に希望のツアーコースを教えてもらったり、誰がYoung Scientist Sessionの座長をやるか?、両学会理事長は開会挨拶を担当してくれるか?、などなど直前にドタバタして、私の教室の秘書のKさんに大変面倒をかけたのですが、運命の日、8/3の出発日が近づいてきておりました。
と、まだ昆明に向けて出発すらしていないのですが、既に長くなりましたので、とりあえず「前編」と言うことで、区切りとさせて頂きますね!