8/5(水)にZOOMによりオンライン開催された2020年度第2回日本薬理学会理事会。2回目の今回の報告は「国際対応アソシエイツ制度」です。
2018.4.30にこの異能塾の中で以下のような記事を紹介しておりました。
2017年3月に行われた役員選挙の結果、2018年4月から初めて理事を拝命し、気合を入れて?この年度の最初の理事会にて、私が発言したことは記載した通りですが、終了後にこんな会話がありました、として紹介しております。
「現在の国際対応委員会だけで、米、英、豪、中、韓、APFPとの対応をやっていくのは負担であり、前回の臨床薬理学会での日中セッションのように、代役を見出すのは楽ではありません。私の関係する某他学会では「サポーター制度」というものがあり、様々な学会の活動を支援する人をあらかじめ「この内容ならできる!」ということを事前に登録しておいてもらい、必要に応じてその人たちに協力を呼びかけるものです。例えばアジア太平洋諸国の薬理学研究者と個人的に交流のある先生方を『(仮)APFPサポーター』として登録してもらい、その中の一部の方々には『(仮)APFP支援小委員会』なるものに参画して頂き、自分の教室員の方々に積極的にWCPに参加して頂くだけでなく、交流先の薬理学研究者の方に教室を上げてWCP2018に参加してもらうように働きかけるのは如何でしょうか? そうすれば今後のAPFP活動への協力者確保につながるだけでなく、身近なところでのWCPの参加者増にも貢献できるかもしれません。」とお伝えしました。
この話はここで一度止まるのですが、その後2018/5/22に以下のメールを配信致しました。
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件名:APFPサポーター(仮)制度のご提案
国際対応委員会委員の先生方
昨日「WCP2018組織委員会より緊急のお願い」のメールが配信されましたのは先生方もご存知かと思います。
その中で
>理事・監事の先生方に現在の状況をご認識頂き、打開策をご提案頂くと共に、
というご指示がございましたので、以前より温めておりました案でございますが、WCP 2018の参加者確保に苦戦が強いられている状況に鑑み、ここに一つご提案がございます。
それは件名の「APFPサポーター(仮)制度」というものです。
もともと私が所属しております腎臓学会では「サポーター制度」というものが約5年前から導入され、腎臓学会総会のなかで、国際学会のブースや機関誌のブースに期間中立ってくれる人を募集したり、学会の様々な活動をボランティアでサポートする人をあらかじめ登録し、「こんな仕事があるので協力を頂ける人はいませんか?」とサポーターメーリングリストに流しますと、できる人が手を上げて助け合うというものです。
一昨年12月、鳥取での日中薬理・臨床薬理合同カンファレンスの際に、学会の理事長、副理事長他の先生方が都合がつかず、不肖私が参加することになりましたが、学会には既にアジア太平洋各国と関係の深い先生方もいるはずですので、そういう方をあらかじめるリストアップしておけば、各国との対応の際にすぐにご協力を頂けるのではないか、というところで、このAPFPサポーター制度を思いつきました。
APFPのメンバーsocietyは
• Australasian Society of Clinical and Experimental Pharmacologists and Toxicologists (ASCEPT) (www.ascept.org)
• Chinese Pharmacological Society (www.cnphars.org)
• Indonesian Pharmacological Association
• Japanese Pharmacological Society (JPS) (www.pharmacol.or.jp)
• Korean Society of Pharmacology (www.kosphar.org)
• Malaysian Society of Pharmacology and Physiology (http://mspp.com.my)
• Pharmacological Society in Taiwan (http://www.pharmacology.org.tw)
• Pharmacological and Therapeutics Society of Thailand
• Pharmacological Society of Singapore (PSS)
• Philippine Society of Experimental and Clinical Pharmacology
日本を除く9カ国ですが、サポーターに関しては、この9カ国を中心に他のアジア太平洋諸国との関係がある方にも手を上げて頂けるといいのではないかと思います(NZはもれておりますし、ベトナム、ラオス、ミャンマー、バングラデシュ、インド、パキスタン、イランもまだございますので)。
国際対応委員会の下部組織としてサポーターを募集し、その会合をWCP 2018に合わせて京都で開催することで、参加者増も多少は見込めますし、また「サポーター」だと自覚をして頂くことで、さらに関係するアジア諸国から追加の参加者を募ることも可能かと思います。
あくまで個人的な印象ですが、タイでの2016年のAPFPも、参加している日本人は学会理事や一部の限られた先生方に止まっている印象があり、その延長線上に今回のWCPもあるような気がしております。つまり一般の会員の方々からみると「遠い世界」の話のように思われているのではないかということです。「我々のWCP」にはなっていない感じがします。
そこで将来的には国際対応委員会所管の「APFP支援小委員会」なるものをAPFPサポーターから選ぶ、ということにして、これまで個人的にアジア各国と交流を進めてこられた先生方を取り込むことで、自分たちの参画する薬理学会、そしてAPFP、そしてWCPという意識を、いささか付け焼刃的ではございますが、少しでも高めることにつながればと考えております。
第14回のAPFP meetingが、May 3-6, 2020になったという連絡を昨日頂きました。
WCPのこの時期に何らかのアクションを起こさないでおりますと、次の2020の参加はまた難しくなる気がしております。
教育研究に加え、学内外の雑用で忙殺されてはおりますが、WCPの盛り上げという今しかできない状況に合わせて、このようなアクションを起こさせて頂ければと存じます。
以上、長くなりましたが、先生方の忌憚のないご意見を頂きますれば幸いです。そして可能でございましたら、国際対応委員会でご議論を頂きますようお願い致します。よろしくお願い申し上げます。******************************************************************************
これに対し、M先生から2018/5/24に以下のお返事を頂きました。
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ご提案ありがとうございます。
アジア太平洋地域から留学生を受け入れたり、共同研究などの交流を進めておられる先生は決して少なくないと思います。一方、4年に一度のAPFP meetingへの参加者は多くないのもその通りだと思います。関係の深い先生方にサポーターとして登録いただき、適宜、情報を伝えることが出来れば、国際交流を促進することができると期待いたします。******************************************************************************
そこで、2018/5/28の私のメールです。
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早速ですが「APFPアソシエイツ制度」(サポーターでは下から上を助けるになるため、対等な言葉としてのアソシエイツに変更させて頂きました)についての実施案を、本メール本文に記載させて頂きます。
ある先生から「参加する人のインセンティブは何ですか?」と尋ねられました。確かに何らかのメリットが必要であるかと思いますが、経済的なものはないでしょうし、実質的に学会の中での貢献になるのか否かは正直不明です。そこで本文中に
「国際対応委員会」オブザーバーとしての参加(して頂く可能性)
「(仮)APFP小委員会」への参加を依頼する可能性
の2つを盛り込んでみました。
これまで個人的に国際交流を行っていた先生方を学会として認識することで、ある意味公的に学会として認め(オブザーバー or 小委員会委員)、敬意を表する、ことくらいしか残念ながら見出せませんでしたが、他の先生方で何かよいアイデアがございましたら、ご提案を頂きますれば幸いです。
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国際対応委員会APFPアソシエイツ制度(案)
目的:アジア太平洋地区という広大な領域に存在する各国の薬理学会ないし薬理学研究者との交流経験(共同研究・留学生受入、等)を持つ日本薬理学会員に参画を依頼し、その個人的なつながりを国際対応委員会を担当部署とする日本薬理学会としてAPFPを中心にした国際交流活動に積極的に参加し、協力を頂くべく、
「APFPアソシエイツ」制度の導入を行う。
アソシエイツ活動内容:IUPHARの下部組織であるAPFPの活動支援を第一の目的とする
(1) APFP(及びIUPHAR)主催学会・イベントへの参加
(2) 日本薬理学会主催国際学会・イベントへの参加
(3) 担当国の学会からの講演・参加依頼への対応
(4) 国際対応委員会主催「アソシエイツ連絡会(仮)」への参加
また、アソシエイツには(仮)APFPアソシエイツ通信のメーリングリストに追加させて頂きます。
尚、アソシエイツのメンバーの方には「国際対応委員会」オブザーバーとしての参加、および検討中の国際対応委員会所管「(仮)APFP小委員会」への参加を依頼する可能性があります。
アソシエイツ登録方法:メールにて以下の情報を担当者に送付する
氏名:
所属:
会員番号:
交流実績国名(複数可):
交流実績内容(各国別に):共同研究、留学生受入、その他(具体的に)
ホームページ上の「APFPアソシエイツ」掲載の可否をご連絡ください。
(どちらかを消してください。)
<すべて> :可 不可
<個 別>
氏名 :可 不可
所属 :可 不可
所属機関所在地名 :可 不可
交流実績国名 :可 不可
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これに対して、2018/5/30にM先生から以下の返信を頂きました。
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国際対応委員会委員の先生方:
A先生から、前向きな提案をいただきました。
A先生の案は、APFPを対象としていますが、限定せず諸外国全てを対象にしたサポーター制度とし、あるときはAPFP、あるときはASCEPT、あるときは中国などと呼びかけるのも良いのかもしれません。
大きな目標は、国際交流事業を行う際、そのイベントを盛り上げていただくことだと思います。
意義をどのように理解してもらい、多くの方に参加してもらうにはどのようにすれば良いか、先生方のお知恵をお貸しください。*****************************************************************************
これに続いて、2018/6/6には、さらにM先生以下のメールを頂きました。
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昨日、会議でI先生に会う機会があり、少し話をしました。一斉メールで参加者を募るのも一案ですが、来年の薬理学会で予定されているオーストラリアや韓国との国際交流の参加者、過去のAPFP大会や国際交流の参加者のリストを作り、小規模ながら着実なところから始め、広げていくのも良いのではとの考えに至りました。*****************************************************************************
と、いう極めて真っ当なご意見を頂きました。
「小規模ながら着実なところから始め、広げて行く」
まあつまりこのWCP 2018前の忙しい時期に急いでやらなくても、ということで、この後会員からの寄付も集まり財政的にも何とかなったというアナウンスがなされたこともあり、私の提案は結局ここで採用されることはなく終わりました。
理事になれば理事会で何でも言いたいことを言って、言ったことが全て実現する、というのは大違いで、理事とは言っても所詮20人前後いる中の一人に過ぎず、自分が考えた末、これが最善の方法ではないか、と提案しても、それが多くの賛同を得て、最終的に理事長はじめ執行部(拡大常務理事会)の方々がGOを出さねば通らない、というどこの組織でも遭遇する「壁」に阻まれて終わったわけです。
しかしWCP 2018の閉会と共に流れが変わります。この提案はある人の目に止まっておりました。それはこのWCP 2018の際に、IUPHAR(国際薬理学会連合)の2nd Vice Presidentに選出されたのがO大のK先生でした。
国際対応委員会の委員長は現在IUPHARの役員を務めている人がその任にあたることになっており、新たにIUPHARの2nd Vice Presidentに選出されたK先生は、当時のI委員長の後を引き継いで、2020年3月から国際対応委員長に就任する見込みとなりました。
これまた以前にこの異能塾の中で以下のような記事を紹介しておりましたが
「ということで、それからはむしろ理事会でもお会いする先の元理事長I先生、92回年会長のK先生、93回年会長のY大G先生など、の先生方と今後の年会のあり方、学会の未来について、意見の交換を行いました。
特に私の元上司であるK先生、この夏の京都で開催されたIUPHAR(国際薬理学連合)のassemblyにて、I先生に変わり、今年からIUPHAR副会長に就任されたのですが、所属されるO大ではCampus Asiaなどのプロジェクトにも関わっておられ、日本、韓国、中国の東アジア三ヶ国との関係をさらに強化すべきとのご意見で、如何に韓国や中国が進んできているか、それを身を以て知ることによって今のままではいけないということを知り日本が覚醒させねば世界に遅れをとることになり、これからは国際「交流」ではなく、対等なパートナーとしての国際「対応」の必要性を強調されました。これには元IUPHAR副会長のI先生も、世界の中における日本の立ち位置を意識した学会運営が必要であることの重要性を語られました。Y大のG先生はさらに地方における「知」の集積地としての地方大の重要性をお話になり、この懇親会の中で見識の高い先生方の想いをどう学会運営に反映し、さらに薬理学だけでなく日本の基礎医学研究をどう守り、そしてどう展開してゆくか、本来学会とはこういうことを語り合う場であるべきで、こういう戦略なくして現場での研究の推進はありえない、ということを皆が認識して、世界の中における日本の存在を高めることが引いては自分自身の研究をも継続展開するのに必要であるという意識を共有できれば、と考えました。」
に記載した通り、これまでIUPHARの多くの会議に参加してこられた中で、世界と日本の違いを肌で感じられたことから、我が国の問題点を認識しておられます。そのK先生から直々に「APFPアソシエイツはAPFPに限らず、全世界の国々を対象として実施するべきだ」というお言葉を頂いたのですから、これは提案者としては嬉しいことはありません!
2019年の大阪年会での役員選挙で関東部会理事としてトップ当選を果たし、理事2期目に内定したところで、K先生のご尽力で7年ぶりに再開した第22回日韓薬理学合同セミナーをサポートするべく大阪滞在を1日延長して対応。
そこで一時頓挫していたアソシエイツに関し、お言葉を頂いた件は
に記載した通りです。
「最後に委員長のI先生から「先生が提案されていたサポーターの件、少し検討したいですね」とのこと。「有難うございます。サポーターでは少し下からになってしまうので、対等な関係ということで、『アソシエイツ』にしたいと思います」とお答えしますと、「どこどこの学会でもアソシエイツという言葉を使ってますね」とI委員長。「次回までに案をまとめて提出させて頂きます!」とお答えし、私が理事選の公約としてあげさせて頂いた国際対応委員会「アソシエイツ」制度がいよいよ始まることになりそうです!」
さらに8月の第7回中日薬理学・臨床薬理学ジョイントミーティングの両学会を代表しての日本側連絡担当を務める中、K先生とは意見交換を行い、2020年4月にK先生が国際対応委員長になるのを見越して、その方向性を共有させて頂きました。
そして2020年4月、新理事会発足と共に、K先生を委員長とする国際対応委員会の第2期が始まりました。この後も様々なやりとりをしますが、これからの4年間に関することの凝縮されたK先生とのやりとりメールの一端をご紹介させて頂きます。
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数々の貴重な情報とお考え、有り難うございました。
国際対応委員会につきましても、先生が前々から言われていた「国際対応委員会アソシエイツ」を始めていきましょう。これは総務委員長の先生に私から言うことではないですが、薬理学会はお金がないので、国際対応委員会の委員会開催の委員の旅費は出しますが(旅費規定に従い)、アソシエイツの方々がもし委員会に出席する場合の旅費は無理だと思います。将来的にアソシエイツの重要性が認知されるようになった場合、規定を作って、旅費のサポートもしてくれるかもしませんが、そのためにも、以下の理事長へのメールにも書きました収入源の確保が必要になってきます。当面は、お金のかからない(あるいはあまりかからない)アソシエイツを作って、薬理学会に提案して、まずは始めていくというのが入りやすいかと思います。
国際対応委員会が行うべき事項としては、以下を考えております
1. 国内対応(会員対応、理事会対応、資金的基盤確立への提言・提案)
2. 交際対応(アジア対応(APFPを含む)、IUPHAR対応)
3. 国際交流(講師交換、ジョイントシンポジウム、ジョントミーティング(日韓、日中)、その他)
今の薬理学会は臨床薬理色が薄いですよね。もっと、薬理学会内部で、今からでも臨床薬理を強調したシンポジウムやセッションを強化して行って、基礎薬理に閉じこもっていない臨床薬理をも志向した新しい薬理学会に移行する準備を始めることが大切のように思います。そういうセッションがあれば、基礎薬理の人たちの研究も良い影響を受けると思いますし、薬理学会の意識も変わっていくと思います。薬理学会の中の臨床薬理系の先生方をもっと薬理学会のなかで盛り立てて、(臨床薬理学会との統合とかではなく)薬理学会が本来あるべき基礎薬理から臨床薬理までを幅広くカバーする学会になればと思います。
古典的な薬理学の体系は、臨床薬理学の中に結実して行って、薬理学は実践を支える理論体系になっています。それで世界では、薬理学=臨床薬理です。その反面、この流れでは他の生命科学の学問分野に影響力を与え続けるような、かつての薬理学がそうしてきたような新たな革新的なコンセプトを打ち立てるような可能性は低く、薬理学の学問分野としてのアイデンティティが問われます。内科の一分野に臨床薬理を持ち込めば良いのではということにもなります(IUPHARの理事の人たちは多くが臨床医、臨床薬理なので、このようなスタンスで議論がなされていますが)。日本の薬理学は、他の国の薬理学とは違って、江橋先生をはじめ薬理ではない人たちがリードしてきました。世界的なスタンダードからみると、日本は(韓国もかもしれませんが)、特殊で、いわゆる正統の薬理学ではなく、生命科学としての薬理的な研究をしています。これは、また、薬理学をかつて実践のための論を作った、学問分野としてはすでに役割を果たした過去の産物としてではなくて、現在のアクティブな学問領域として位置付けて行かないと、先生の言われますように、薬理学のいらない世の中になると思います。日本は、臨床薬理と包含した上で、国際的に学問としての薬理学の生き残りをリードしていくことが、この日本の特徴を生かした国際貢献の一つと思います。
日本学術会議の動向も見ないとなりませんが、学術会議のなかでも、各分野が生き残りをかけていると思いますし、生き残り=その分野の研究費配分=戦略的予算措置なので、薬理学をやめないのなら、学術会議対策もきっちりとしていかないとなりませんよね。江橋先生の頃は、薬理は力があったと思いますが。
薬理学を学問領域の中で生き残らせるためには、まずは薬理学を定義し直し、薬物治療のための理論的基礎をかつて作った分野というだけはなく、生命科学の一分野として、他の生命科学に影響を与え続けていく枠組みを表明しておく必要があります。それに関わることとして、以前アゴラにエッセイとして砕けた形で書いたものがありますので添付させていただきました。これは、ほとんど薬理学会の人たちにインパクトがありませんでしたし、IUPHARの理事会の人たちにも全く通じません。
昨日理事会に以下のメールを送りました。
「国際対応委員会は、特別委員会の枠組みで、常置委員会に比べて理事会と離れがちで、私も今期理事会から離れましたが、『国際対応について理事会との連携のさらなる強化』を前委員会からの引き継ぎ事項としております。各委員会とも密に連携をとりながら、国際対応をどうに進めて行くかご相談させていただきたく存じます。
やはり、
JPSのインパクトファクターを高め ーこれによる日本薬理学会のステータスの向上とジャーナル収入による資金源を確保しー それを原資とした日本の薬理学の特徴を生かした国際的事業を立ち上げ ーそれに関連した資金援助をしていく:
これが実現すれば、ASPETやBPSのように国際的に影響力のある学会になっていけると思いますが、これが国際対応の理想像と思っております。
現時点では、中国は、会員数、資金ともに、米国、英国に次ぐ第3国になっており、戦略的に国際対応に資金投入・資金援助をしていますので、ともかくお金をだしますので国際的にとても強く、この状況で、日本は完全に第3国の立場は譲っています。サイエンスのレベルの高さ、特に生命科学としての基礎薬理のレベルの高さが日本の薬理学の特徴と思います。これはWCP2018で米国、英国がとても高く評価していました。しかし、もはや日本が自分だけで高いレベルのサイエンスをやっていれば良いという時代ではなくなったと思いますし、やはり国際社会を無視しては成り立たなくなっていると思いますので、日本の特徴を生かして国際的な事業を立ち上げて国際協力の中で影響力を得ていくことが求められてきていることを痛感しております(これは国の外交と同じような状況になって来ているように感じております)。そのためには、資金が必要ですが、それにはジャーナルのインパクトファクターを高めて多くの投稿があるジャーナルにして資金を確保していくということになり、これは長期的な戦略が必要になると思います。それまでは、できる限りの情報発信、国際交流を続けていくことになりますが、名実ともに日本薬理学会の国際的ステータスをゆるぎのないものにしていくには、すべてが絡みあっていると思いますので、国際対応委員会は外務省の役割を果たしつつ、理事会、各委員会と強い連携を持ちながら、全力を尽くしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願い致します。」
国際対応委員会で扱う事項は、薬理会の抱えている問題全てと関わると思います。いろいろ相談・画策させていただきながら、他の国にも、他の分野にも潰されることがないよう、できる限りのことをしたいと思います。
アソシエイツの件、どうぞよろしくお願いいたします。
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いろいろなご意見はあるかと思います。しかし、「世界」という場で他国の指導的役割を果たす研究者と渡り合って来られた先生の、広い視野と高い見識に基づくお考えに、私は賛同以外の回答はありません。
制度上仕方がないとはいえ、これだけの方が学会に所属していながら、「理事長」として我々をリードされることなく定年を迎えられることが大変残念でなりません。
それはさておき、以上のやりとりが交わされた中で、新年度最初の国際対応委員会が7/11にZOOMにて開催されました。そして、いよいよ「国際対応アソシエイツ」制度が提案・承認され、正式に国際対応委員会提案として次の理事会に諮られることとなりました。
これでやっと8/5の理事会に戻って来ました(笑)
以下に今回提案された「国際対応アソシエイツ」制度を紹介させて頂きます。
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国際対応アソシエイツ制度(案)
目的:
世界各国の薬理学会ないし薬理学研究者との交流経験(共同研究・留学生受入、等)、および短期長期を問わず海外留学経験を持つ日本薬理学会会員を対象とし、各会員が有する研究者および研究機関とのつながりを生かし、国際対応委員会を担当部署とする国際交流活動の活性化(参加・協力)目指し、「国際対応アソシエイツ」制度を導入する。
アソシエイツ活動内容:
我が国を代表してIUPHARに加盟する日本薬理学会として、IUPHARおよびその下部組織であるAPFPにおける学会の国際活動支援を行う
(1) IUPHAR(及びAPFP)主催の学会・イベントの企画・参加
(2) 日本薬理学会主催国際学会・イベントの企画・参加
(3) 2国間交流を維持している当該国学会からの講演・研究会への対応・参加
(4) 国際対応委員会管轄「アソシエイツ連絡会(仮)」への参加
また、アソシエイツメンバーの方には(仮)アソシエイツ通信のメーリングリストに追加させて頂きます。
尚、アソシエイツのメンバーの方には「国際対応委員会」オブザーバーとしての参加を依頼する可能性があります。
国際対応アソシエイツ登録方法:メールにて以下の情報を国際対応委員会アソシエイツ担当者に送付して下さい。
氏名:
所属:
電子メール:
会員番号:
交流実績国名(複数可):
交流実績内容(各国別に):共同研究、留学生受入、その他(具体的に)
ホームページ上の「国際対応アソシエイツ」掲載の可否をご連絡ください。
(どちらかを消してください。)
<すべて> : 可 不可
<個 別>
氏名: 可 不可
所属: 可 不可
所属機関所在地名:可 不可
交流実績国名: 可 不可
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2018年の提案から苦節2年!、ようやくこのアソシエイツ制度が理事会で承認され、総務委員会に付託されることになりました。長かったですね、、、